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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第3章「風遁修行編」
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第78話「雷速突破」

森の中に、雷鳴が響いた。


バチバチバチッ!


迅牙の身体から放たれた雷が、地面を走る。


その姿が、四人の視界から消えた。


「来る!」


蒼真が叫ぶ。


風の流れを読む。


右――。


「蓮司、右!」


「任せろ!」


蓮司が木刀を構える。


次の瞬間、迅牙が右側から飛び込んできた。


ガキィン!


蓮司が受け止める。


だが――


「重い……!」


迅牙の刀に雷が集中している。


蓮司の身体が押される。


「雷遁・雷走!」


迅牙が踏み込む。


バチィッ!


蓮司の身体が弾き飛ばされた。


「蓮司!」


凛が水遁を放つ。


「水遁・水弾!」


連続する水弾が迅牙へ迫る。


迅牙は身体を左右に振りながら、全てをかわしていく。


「速すぎる……!」


凛が歯を食いしばる。


「だったら!」


両手を前へ突き出す。


「水遁・水壁!」


巨大な水の壁が迅牙の進路を塞いだ。


「これなら――」


迅牙は止まらない。


雷を纏ったまま、水壁へ突っ込む。


ドォン!


水が弾け飛ぶ。


迅牙が水壁を突破した。


「そんな……!」


凛の目が見開かれる。


迅牙の刀が迫る。


キィン!


レイが割り込んだ。


二本の短刀で受け止める。


「凛、下がれ」


「でも……!」


「今は俺が止める」


迅牙とレイ。


二人が至近距離で睨み合う。


「またお前か」


「何度でも相手をする」


レイが二刀を振る。


右。


左。


交差。


迅牙は雷遁で加速しながら避けていく。


ガキン!


レイの短刀が迅牙の刀を弾く。


しかし迅牙はその勢いを利用して回転した。


「雷遁・瞬雷歩!」


バチィッ!


一瞬でレイの背後へ回る。


レイが振り向く。


だが遅い。


迅牙の刀が振り下ろされる。


ガキィン!


蒼真の風影刀が受け止めた。


「レイ!」


「助かった」


蒼真とレイが並ぶ。


迅牙が一歩下がる。


「二人なら止められると思うか?」


蒼真が風影刀を構える。


「一人よりはな」


「なら試してみろ」


迅牙が踏み込む。


蒼真も走る。


風と雷。


二つの力が正面からぶつかった。


ガキィィン!


蒼真の風影刀と迅牙の刀が交差する。


迅牙が力を込める。


「遅い!」


「……!」


迅牙が身体を横へ滑らせる。


蒼真の横を抜ける。


だが、その先にはレイがいた。


「そこだ」


二本の短刀。


迅牙が急停止する。


ザッ!


短刀が迅牙の袖を切り裂いた。


「……!」


迅牙が後退する。


蒼真が気づいた。


「レイ!」


「分かってる」


「違う」


蒼真が迅牙の足を見る。


「雷が弱くなってる」


迅牙の表情がわずかに変わった。


「……」


「さっきより雷の量が減ってる」


蒼真が続ける。


「やっぱり、あの速度をずっと維持できないんだ」


蓮司が立ち上がる。


「じゃあ、そこを狙えばいい!」


「そういうことだ」


凛も頷く。


「雷が弱まる瞬間を作ればいい」


迅牙が刀を構え直す。


「よく気づいたな」


「だったら――」


迅牙が笑う。


「それを狙ってみろ」


バチッ!


再び雷が身体を包む。


蒼真が叫ぶ。


「来るぞ!」


迅牙が走った。


今度は四人の中央へ。


「全員、動くな!」


蒼真の声に三人が反応する。


迅牙が四人の中心へ飛び込む。


「雷遁・雷走!」


雷が一気に弾ける。


「今!」


凛が水を地面へ流した。


「水遁・水流陣!」


地面一面に水が広がる。


迅牙の足元が濡れる。


「何……!」


蓮司が突っ込む。


木刀を振り下ろす。


迅牙が受ける。


ガンッ!


その瞬間、レイが左右から二刀を振る。


迅牙が後退する。


そして――


蒼真が最後に踏み込んだ。


「風遁・風刃!」


風の刃が迅牙の足元を狙う。


迅牙は跳んだ。


だが――


空中では、雷遁による細かな方向転換ができない。


「そこだ!」


蒼真が風を操る。


風圧が迅牙の身体を横へ押す。


「くっ!」


迅牙の着地点がずれる。


レイが待ち構えていた。


「終わりだ!」


二本の短刀が迫る。


迅牙は刀で一本を弾く。


もう一本が肩へ――。


ザシュッ!


肩から血が流れた。


迅牙が地面へ着地する。


息が荒い。


しかし、その目から戦意は消えていなかった。


「……なるほど」


血を拭う。


「ようやく、お前たちらしい戦い方になってきた」


蒼真が構える。


「まだ終わってない」


「ああ」


迅牙が刀を握り直す。


「ここからだ」


四人も再び構えた。


戦いは、まだ続いている。


第78話 完

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