第77話「四人対迅牙」
森の中。
蒼真、蓮司、凛、レイの四人が、迅牙を囲んでいた。
迅牙は刀を肩に担ぎ、四人を順番に見渡す。
「四人で囲めば勝てると思っているのか?」
蓮司が木刀を構える。
「やってみなきゃ分からないだろ」
凛が迅牙の左右を確認する。
「今度は逃がさない」
レイは無言で短刀を構えた。
蒼真が風影刀を握る。
「全員、さっきの連携でいく」
四人が同時に動いた。
「水遁・水弾!」
凛が放った水の弾丸が迅牙へ飛ぶ。
迅牙は横へ跳ぶ。
その着地点へ――
「風遁・風弾!」
蒼真の風弾が叩き込まれる。
迅牙は刀を振り、風弾を斬り裂いた。
「甘い!」
そこへ蓮司。
「うおおっ!」
木刀が振り下ろされる。
ガンッ!
迅牙が受け止める。
「力任せか!」
「それだけじゃない!」
蓮司が木刀を引いた。
迅牙の身体が前へ流れる。
そこへレイが入った。
「もらった」
二本の短刀が左右から迫る。
迅牙は身を沈めた。
刃が頭上を通過する。
「雷遁・瞬雷歩!」
バチィッ!
迅牙の身体が加速した。
四人の間を一瞬で駆け抜ける。
「速い!」
凛が振り返る。
迅牙はすでに蒼真の背後にいた。
刀を振り上げる。
「蒼真!」
ガキィン!
蒼真が振り返りざまに受け止めた。
雷が風影刀へ流れ込む。
「ぐっ……!」
腕が痺れる。
迅牙が刀を押し込む。
「お前が連携の中心だ」
蒼真の足が後ろへ下がる。
「だから最初に潰す」
「させるか!」
蓮司が横から斬り込む。
迅牙が蒼真から離れる。
しかし――
「水遁・水縛!」
凛の水が迅牙の足へ絡みついた。
「捕まえた!」
水が両足を締め付ける。
迅牙が動きを止める。
「今だ!」
蒼真が踏み込む。
「風遁・風刃!」
風の刃が迅牙へ迫る。
迅牙は刀を振った。
だが、完全には防げない。
ザッ!
肩を風刃が切り裂く。
「ぐっ……!」
血が飛ぶ。
「入った!」
蓮司が叫ぶ。
しかし迅牙は倒れない。
水縛を力任せに引きちぎる。
バシャッ!
「まだだ!」
迅牙の周囲に雷が広がった。
「雷遁・雷走!」
バチバチバチッ!
地面を走った雷が四人へ向かう。
「散れ!」
蒼真が叫ぶ。
四人がそれぞれ別方向へ飛ぶ。
雷が地面を焼いた。
凛が着地した瞬間、足元が崩れる。
「えっ……!」
迅牙が刀で地面を斬ったのだ。
地面に細い亀裂が走っている。
凛の足が沈む。
「凛!」
レイが助けに向かう。
だが、その前に迅牙が割り込んだ。
「一人ずつ崩す」
「……!」
レイと迅牙が向かい合う。
レイが二本の短刀を構える。
「また俺か」
「お前が一番厄介だからな」
迅牙の足元に雷が集まる。
バチッ!
レイも一歩踏み込む。
二人の刃が交差する。
ガキィン!
迅牙が右へ。
レイが追う。
ガキン!
左へ。
レイも回る。
ガキン!
互いの攻撃がぶつかる。
その間に蒼真は凛を引き上げ、蓮司が二人の前に立った。
「レイだけに任せるな!」
「分かってる!」
蒼真が風を読む。
迅牙の雷。
足の動き。
刀の軌道。
その全てを感じ取る。
「次は――左!」
レイが反応する。
迅牙が左へ踏み込む。
レイは先回りして短刀を振った。
迅牙が止まる。
「……!」
初めて、完全に動きを読まれた。
蒼真が叫ぶ。
「今だ!」
蓮司が踏み込む。
「はあっ!」
木刀が迅牙へ迫る。
凛も手を伸ばす。
「水遁・水槍!」
水の槍が一直線に飛ぶ。
迅牙の逃げ道は三方向から塞がれた。
それでも迅牙は笑った。
「なるほど」
雷がさらに強くなる。
「四人の連携……ようやく形になってきたな」
バチィィッ!
迅牙の身体から、今までとは比べものにならないほどの雷が噴き出した。
蒼真の表情が変わる。
「……まだ速度を上げるつもりか」
迅牙が刀を構える。
「ここからが本番だ」
森の中に雷鳴が響いた。
第77話 完




