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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第3章「風遁修行編」
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第74話「黒刃の迅牙、再び」

黒影衆の修行場。


蒼真たちは身構えたまま、森の奥から現れた迅牙を見ていた。


迅牙は刀の柄に手を添えたまま、ゆっくり歩いてくる。


「四人とも、随分と腕を上げたようだな」


蓮司が木刀を構える。


「お前が来ることは分かってた」


「なら話は早い」


迅牙が足を止めた。


「修行の成果を見せてもらう」


レイが低く構える。


「蒼真。一人で相手をするな」


「分かってる」


凛も両手を構えた。


「四人で戦おう」


迅牙が笑う。


「四人か」


刀を抜く。


「面白い」


その瞬間――


消えた。


「!」


蒼真が風を感じる。


「右!」


ガキィン!


蓮司が反射的に木刀を振り、迅牙の斬撃を受け止めた。


「ぐっ!」


迅牙の速度に押され、蓮司の身体が後ろへ滑る。


「速い……!」


迅牙は間髪入れずに二撃目を放つ。


ガンッ!


今度はレイが二本の短刀で受けた。


しかし、迅牙は刀を引いた瞬間、身体を低く沈める。


「遅い」


レイの懐へ入り込む。


「なっ!」


レイが後ろへ跳ぶ。


その瞬間、凛が水を放った。


「水遁・水弾!」


迅牙が横へ跳ぶ。


水弾が地面を抉る。


蒼真が踏み込んだ。


「風遁・風刃!」


鋭い風が迅牙へ迫る。


迅牙は刀を振り、風刃を斜めに受け流した。


「なるほど」


迅牙の目が蒼真へ向く。


「以前とは違うな」


「こっちも同じだ!」


蒼真が風を纏う。


一気に加速。


「風遁!」


迅牙との距離を詰める。


ガキン!


刀と風影刀がぶつかった。


「……!」


蒼真の腕に衝撃が走る。


迅牙が押し込む。


「速くなったな」


「お前もな!」


蒼真は風を足元へ集める。


身体を横へ流し、迅牙の斬撃をかわす。


そのまま背後へ回ろうとする。


しかし――


迅牙も同時に振り向いた。


ガンッ!


再び刀がぶつかる。


互いに距離を取る。


「蒼真!」


蓮司が横から入る。


「俺もいるぞ!」


木刀が迅牙へ振り下ろされる。


迅牙は受け止める。


その隙にレイが背後へ回る。


「今度は逃がさない」


左右の短刀が迫る。


迅牙は身体を捻り、一本をかわす。


もう一本が袖を切り裂いた。


「……!」


迅牙が初めて表情を変えた。


凛がその瞬間を逃さない。


「水遁・水縛!」


地面から水が伸び、迅牙の足へ絡みつく。


「捕まえた!」


迅牙の動きが止まる。


蒼真が風影刀を構えた。


「今だ!」


四人が一斉に動く。


だが――


迅牙は足元の水を刀で切り裂いた。


水が飛び散る。


その一瞬の隙に身体を低く沈める。


「甘い」


シュッ!


迅牙が凛の横を通り抜ける。


「凛!」


蓮司が追う。


迅牙は振り向きざまに斬撃。


ガンッ!


蓮司が受け止める。


「こいつ……!」


蓮司の腕が震える。


迅牙は力を抜かない。


「お前は以前より強くなった」


「だったら――」


蓮司は一歩踏み込む。


「俺も負けねえ!」


木刀を横へ滑らせ、迅牙の刀を受け流す。


迅牙の身体が僅かに崩れた。


「!」


蓮司が木刀を振り抜く。


迅牙が後ろへ跳ぶ。


だが、レイが待っていた。


「そこだ」


二本の短刀が左右から迫る。


迅牙は一歩下がる。


しかし、その背後から凛の水流が迫った。


「逃がさない!」


水流が地面を走る。


迅牙の逃げ道が塞がれる。


蒼真も風を纏って加速した。


四人が初めて、迅牙を完全に囲んだ。


迅牙は刀を構え直す。


「……いい連携だ」


蒼真が睨む。


「今度はこっちの番だ」


迅牙の口元が僅かに上がる。


「そうでなくては面白くない」


その瞬間――


迅牙の構えが変わった。


今までとは明らかに違う。


レイが目を細める。


「……来るぞ」


迅牙の身体が低く沈む。


次の瞬間。


四人へ向かって、凄まじい速度で踏み込んだ。


第74話 完

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