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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第3章「風遁修行編」
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第72話「四人の連携」

午後。


黒影衆の修行場。


蒼真、蓮司、凛、レイの四人が向かい合っていた。


影宗が四人の中央に木製の標的を置く。


「今日は個人の修行ではない」


蒼真が風影刀に手を添える。


「連携か」


「ああ。次に夜叉衆と戦うなら、一人の力だけでは足りない」


蓮司が木刀を構える。


「じゃあ、どうする?」


「まずは、それぞれの役割を決めろ」


四人は顔を見合わせる。


蒼真が先に口を開いた。


「俺は風遁で敵の動きを崩す」


「私は水遁で攻撃と防御」


凛が続ける。


「俺は近距離で敵を止める」


蓮司が木刀を握る。


レイは二本の短刀を構えた。


「俺は隙を狙う」


影宗が頷く。


「なら、それを実際にやってみろ」


影宗が手を上げる。


「開始」


四人が動く。


蒼真が先頭へ出た。


「風遁・風弾!」


風の塊が標的へ飛ぶ。


その瞬間、凛が続く。


「水遁・水槍!」


水の槍が風に乗り、標的へ向かう。


ドンッ!


標的が大きく揺れた。


「今だ!」


蓮司が踏み込む。


木刀を振り下ろす。


しかし――


ガッ!


標的の横に置かれた別の木盾に阻まれた。


「くそっ!」


レイが反対側から飛び込む。


二本の短刀を交差させる。


ザッ!


木盾を斬り裂いた。


「今のは悪くない」


蒼真が振り返る。


「でも、全員が同時に動くと邪魔になるな」


凛も頷く。


「私の水槍も、蓮司が近づく前に撃ったら危ない」


「俺も、レイの位置を見てなかった」


蓮司が頭を掻く。


影宗が言う。


「連携とは、同時に攻撃することではない」


四人が影宗を見る。


「仲間が次に何をするかを考えて動くことだ」


蒼真が考え込む。


「じゃあ、順番を決めるんじゃなくて……」


「そうだ」


影宗が標的を指す。


「互いの動きを見ろ」


もう一度、四人が構える。


今度は蒼真が前へ出る。


「風遁・風刃!」


風の刃が標的の足元を削る。


標的が僅かに傾く。


「今!」


凛が水を放つ。


「水遁・水流!」


水流が標的をさらに押し込む。


そこへ蓮司が走る。


「ここだ!」


木刀を振り抜く。


標的が大きく傾いた。


だが、倒れる寸前。


レイが反対側へ回り込む。


「終わりだ」


二本の短刀を同時に振る。


ザンッ!


標的が倒れた。


四人が動きを止める。


「……成功した」


凛が嬉しそうに笑う。


蓮司も笑った。


「今のは綺麗だったな」


レイが短刀を収める。


「それぞれが次の動きを作ったからだ」


蒼真は頷く。


「俺が崩して、凛が動きを止める。蓮司が押し込んで、レイが仕留める」


「その形を覚えておけ」


影宗が告げる。


「だが、実戦では敵も動く。決めた通りにはいかない」


その言葉に四人の表情が引き締まる。


蒼真が風影刀を握る。


「なら、相手が変わっても合わせられるようにする」


蓮司が頷く。


「そうだな」


凛も構える。


「もう一回やろう」


レイが二本の短刀を抜く。


「今度はもっと速く」


四人は再び標的へ向かって走り出した。


その様子を、森の外から誰かが見ていた。


黒い衣。


木の枝に立つ影。


だが、今回は夜叉衆の印を身につけていない。


影は四人の動きをしばらく見つめると、静かに森の奥へ消えていった。


第72話 完

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