第7話「師匠の秘密」
翌朝。
蒼真は修練場に来ていた。
しかし、いつものように木刀を振っても集中できない。
「……あの忍び」
昨日のことが頭から離れなかった。
「おい、蒼真」
蓮司が隣に立つ。
「昨日からずっと考えてるだろ」
「分かるか?」
「顔に出てる」
蒼真は木刀を下ろす。
「師匠、何か知ってると思う」
「俺もそう思う」
「聞いてみる」
二人は修練場を出た。
本部へ向かおうとした、その時だった。
「蒼真」
後ろから影宗の声がした。
「師匠!」
影宗は二人を見る。
「昨日のことが気になるか」
「はい」
蒼真は迷わず答えた。
「あの忍びは何者ですか?」
影宗はしばらく黙っていた。
「……昨日も言ったが今のお前が知る必要はない」
「でも、俺の風遁を知っていました」
「だからこそだ」
「どういう意味ですか?」
影宗は蒼真に近づく。
「お前の風遁は、普通の忍びとは少し違う」
蒼真は目を見開く。
「俺の風遁が?」
「ああ。だが、詳しい話はまだできない」
「師匠!」
影宗は背を向ける。
「いずれ話す時が来る」
「いつですか?」
影宗は振り返らない。
「お前が、その答えを受け止められるほど強くなった時だ」
影宗はそのまま去っていった。
蒼真は拳を握る。
「……強くなれば、教えてくれる」
蓮司が隣で笑う。
「なら、強くなるしかないな」
「ああ」
蒼真は木刀を握り直した。
「今日からもっと修行する」
二人は修練場へ戻っていった。
その様子を、遠くから影宗が静かに見つめていた。
「……蒼真」
影宗は小さく呟く。
「まだ、お前には早い」
第7話・完




