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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第3章「風遁修行編」
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第66話「風遁・風刃」

森の中。


蒼真は風影刀を抜き、目の前に並べられた木の板を見つめていた。


影宗は少し離れた場所で腕を組んでいる。


「昨日は風を操った。今日は、その風を攻撃に変える」


「風を……攻撃に?」


「そうだ」


影宗が一本の木の枝を拾い、軽く放り投げる。


枝が宙を舞った。


「斬れ」


蒼真は風を集める。


風影刀を横に振った。


「風遁!」


風が刃となって飛んでいく。


しかし――


ザッ!


枝の横を通り過ぎ、後ろの木にぶつかった。


「外れた……」


「力みすぎだ」


「力を入れないと威力が出ないだろ」


「違う。風は力で押さえつけるものじゃない」


影宗は地面の葉を一枚拾った。


「これを斬ってみろ」


葉を空へ放る。


ひらひらと舞い落ちる葉。


蒼真は目を閉じた。


風を読む。


葉の動き。


空気の流れ。


そのすべてを感じ取る。


そして――


「風遁!」


刀を振る。


スッ――


葉が二つに裂けた。


「……できた」


「今の感覚だ」


蒼真は何度も葉を放ち、風刃を飛ばしていく。


一枚。


二枚。


三枚。


少しずつ狙いが安定していく。


だが、木の板を相手にした瞬間――


ドンッ!


風刃が板を大きく削った。


「おお!」


蒼真の表情が明るくなる。


「威力も上がってる!」


「だが、まだ浅い」


「浅い?」


「実戦では、それでは足りない」


影宗が木の板を三枚重ねた。


「三枚すべてを斬れ」


蒼真は刀を握り直した。


深く息を吸う。


「……風は、力で押さえつけない」


昨日の言葉を思い出す。


風を感じる。


流れを読む。


そして――


「風遁・風刃!」


振り抜いた瞬間、鋭い風が一直線に走った。


ザシュッ!


一枚目。


二枚目。


そして――


三枚目。


三枚すべてに、一本の切れ目が入った。


蒼真は息を呑んだ。


影宗は静かに頷く。


「成功だ」


「……!」


蒼真は拳を握った。


「風遁・風刃……」


新しい技。


自分の力で初めて生み出した攻撃技だった。


だが――


その直後。


森の奥から、木が倒れる音が響いた。


ドォン!


蒼真と影宗が同時に振り向く。


「誰かいる」


影宗の声が低くなる。


蒼真は風影刀を構えた。


木々の隙間。


そこには誰の姿もない。


ただ、地面に一本の黒い短刀が突き刺さっていた。


刀には、夜叉衆の印。


蒼真の表情が変わる。


「夜叉衆……」


影宗は短刀を見つめた。


「警告か」


「また来るってことか?」


「おそらくな」


蒼真は風影刀を握り締めた。


「なら、もっと強くならないと」


森を風が駆け抜ける。


その風は、昨日までとは違っていた。


蒼真自身の意思を乗せた風だった。


第66話 完

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