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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第3章「風遁修行編」
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第64話「夜叉衆の刺客」

山の中。


蒼真は風遁の修行を続けていた。


「もう一度!」


「風を感じろ」


影宗の言葉を思い出しながら、蒼真は目を閉じる。


ヒュウ……。


風が頬を撫でる。


「右……」


蒼真が身体を傾ける。


ヒュッ!


一本の苦無が、蒼真の頬をかすめて木に突き刺さった。


「……!」


蒼真が振り返る。


「誰だ!」


影宗もすぐに構える。


木々の奥から、一人の男が姿を現した。


黒い忍装束。


腰には刀。


額当てには夜叉衆の紋章。


「夜叉衆……」


男は蒼真を見る。


「思ったより早く気づいたな」


蒼真が風影刀に手を伸ばす。


だが、影宗が止める。


「抜くな」


「でも!」


「修行の成果を試すいい機会だ」


蒼真が驚く。


「この男と戦えってこと?」


「そうだ」


夜叉衆の男が刀を抜く。


「俺の名は黒刃の迅牙」


「迅牙……」


「風継ぎになる前に、お前を倒す」


迅牙が姿勢を低くする。


次の瞬間――


シュン!


一気に距離を詰めてきた。


「速い!」


蒼真が横へ飛ぶ。


刀が服を切り裂く。


「風を読んだか」


迅牙が再び踏み込む。


「なら、これはどうだ!」


連続した斬撃。


蒼真は風の流れを感じながら避けていく。


一撃。


二撃。


三撃。


「見える……!」


蒼真は攻撃の直前に身体を動かす。


迅牙の刀が空を切る。


「なるほど」


迅牙が笑う。


「修行しただけのことはある」


蒼真が拳を握る。


「今度は俺の番だ!」


「風遁・風弾!」


ドン!


風の塊が迅牙へ飛ぶ。


迅牙は刀で受ける。


「この程度!」


だが、風弾の衝撃で身体が後ろへ吹き飛ぶ。


「ぐっ……!」


蒼真が驚く。


「効いた!」


「油断するな!」


迅牙が地面を蹴る。


「夜叉衆は、そんなに甘くない!」


一瞬で蒼真の懐へ入り込む。


「しまっ――」


ガキィン!


影宗が刀で受け止めた。


「そこまでだ」


迅牙が後退する。


「……黒影衆の影宗か」


「これ以上は許さん」


影宗の殺気が山中を包む。


迅牙は刀を納めた。


「今日は挨拶だけだ」


「何?」


「夜叉衆は、お前の修行が終わるのを待っている」


迅牙は蒼真を見る。


「完成した時、お前を狩りに来る」


そう言い残し、木々の奥へ消えていった。


蒼真は拳を握る。


「……強くならないと」


影宗が静かに頷く。


「その通りだ」


「次に来た時は、俺一人で戦えるようになる」


風が山を駆け抜ける。


蒼真は風影刀を見つめた。


「もっと強くなる」


第64話・完

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