第60話「北東村・決着」
「行くぞ!」
蒼真が風影刀を構え、夜叉衆へ突っ込む。
「風遁・風刃!」
鋭い風の刃が暗闇を切り裂く。
「散れ!」
夜叉衆の忍びたちが左右へ飛ぶ。
その間を蓮司が駆け抜ける。
「そこだ!」
刀を振り抜き、一人を倒す。
「俺も行く!」
レイが二本の短刀を使い、別の忍びへ連続して斬り込む。
「くっ……速い!」
「まだ終わってない」
レイが一気に間合いを詰める。
凛も印を結ぶ。
「水遁・水弾!」
水の弾丸が夜叉衆を吹き飛ばした。
「これで最後!」
残った忍びが倒れる。
だが――
「まだだ!」
黒い煙が封印石から噴き出した。
「何だ!?」
蒼真が後退する。
玄真が封印石の前に立つ。
「全員、下がれ!」
「玄真!」
「この封印が壊れれば、地下だけでは済まない!」
玄真が刀を地面に突き立てる。
「俺が封じ直す!」
黒い煙が玄真へ襲いかかる。
「ぐっ……!」
「玄真!」
蒼真が駆け寄ろうとする。
「来るな!」
玄真が叫ぶ。
「お前には別の役目がある!」
「でも!」
「風継ぎなら、自分の力を何のために使うのか考えろ!」
蒼真は足を止めた。
風影刀を見る。
そして目を閉じる。
「……風」
地下を流れる空気。
封印石から漏れ出す黒い煙。
その流れが、蒼真には見えていた。
「分かった」
蒼真が風影刀を構える。
「俺が風を戻す!」
「できるのか?」
「やってみる!」
蒼真が刀を振る。
「風遁・風環!」
巨大な風の渦が地下を包み込む。
黒い煙が少しずつ押し戻されていく。
「今だ!」
玄真が印を結ぶ。
「封印術・鎮風!」
光が封印石を包む。
ゴゴゴゴゴ……。
揺れていた地下が、徐々に静まっていく。
やがて――
完全な静寂が訪れた。
蒼真はその場に膝をついた。
「……終わった」
蓮司が駆け寄る。
「蒼真、大丈夫か?」
「ああ……ちょっと疲れただけだ」
凛が微笑む。
「村の人たちも無事」
レイも周囲を確認する。
「夜叉衆も全員撤退したみたいだ」
玄真が立ち上がる。
「これで、この地下はしばらく持つ」
蒼真が玄真を見る。
「しばらく?」
「封印は完全に元へ戻ったわけではない」
玄真は封印石を見る。
「夜叉衆は必ずまた来る」
「……そうか」
「そして、お前もいずれここへ戻ってくることになる」
「俺が?」
玄真は風影刀を見つめる。
「風継ぎの道は、まだ始まったばかりだからな」
その言葉を最後に、玄真は地下の奥へ戻っていった。
翌朝。
村には穏やかな風が吹いていた。
村人たちは少しずつ普段の生活を取り戻している。
「蒼真!」
子供たちが駆け寄ってくる。
「ありがとう!」
蒼真は笑う。
「もう大丈夫だ」
蓮司が肩を叩く。
「今回も何とかなったな」
「みんながいたからだよ」
凛も頷く。
「私たち、少しずつ強くなってる」
レイは静かに村を見渡す。
「でも、夜叉衆はまだ動いている」
「ああ」
蒼真は風影刀を見る。
「次はもっと強い奴が来るかもしれない」
その頃。
遠く離れた夜叉衆の拠点。
「封印は破れなかったか」
黒い影が報告を聞いていた。
その前に立つのは――
黒牙のガク。
「申し訳ありません」
「構わん」
影が静かに答える。
「風継ぎが目覚め始めたことは確認できた」
「では、次は……」
影が笑う。
「さらに強い者を送る」
その言葉とともに、暗闇の奥から一人の忍びが姿を現した。
そして――
「次は俺が行こう」
北東村を巡る戦いは終わった。
しかし、蒼真たちの前には、さらに大きな戦いが待っている。
第60話・完




