第58話「目覚める封印」
ドン……!
地下空間が再び揺れた。
「な、何……?」
凛が周囲を見回す。
蒼真は風影刀を構えた。
「どこからだ?」
古びた忍装束の男が、地下の奥を見つめる。
「封印の間だ」
「そこに何がいる?」
男は少し黙った。
「かつて、風継ぎたちが封じたものだ」
「だから、それは何なんだ!」
「分からない」
蒼真が驚く。
「分からない?」
「あまりにも危険だった。だから記録からも消された」
その直後――
バキッ!
地下の奥で何かが砕ける音がした。
凛が身構える。
「封印が……」
男が走り出す。
「急げ! ここから離れるぞ!」
「待って!」
蒼真も追いかける。
そのとき。
「蒼真!」
後ろから声が響いた。
振り返ると、蓮司とレイが階段を下りてきていた。
「蓮司!」
「無事か?」
「ああ。でも、地下の奥で何かが目覚めようとしてる」
蓮司が刀を抜く。
「だったら俺たちも行く」
レイも短刀を構える。
「四人なら、何とかなる」
凛が頷く。
「気をつけて。何がいるのか分からない」
五人は地下の奥へ進んだ。
しばらくすると、巨大な石の扉が見えてきた。
扉には、幾重にも封印の文字が刻まれている。
しかし――
その一部が黒く染まっていた。
「これ……」
凛が扉を見る。
「夜叉衆の術?」
男が首を横に振る。
「違う」
「じゃあ、何?」
「中にいるものが、自分の力で封印を壊している」
ゴゴゴゴゴ……。
扉が大きく震える。
蒼真が一歩前へ出た。
「俺が止める」
「待て!」
男が叫ぶ。
「お前一人では無理だ!」
「でも、何もしなかったら村まで危ない!」
蒼真が風影刀を握り締める。
その瞬間――
風影刀が強く輝いた。
「……!」
石の扉に刻まれた紋章も同時に光り始める。
男が目を見開く。
「風影刀が……封印に反応している」
蒼真は刀を見つめた。
「俺に何をしろっていうんだ……?」
扉の向こうから、低い声が響いた。
『……風継ぎ……』
全員が凍りつく。
『……久しいな……』
ドンッ!
石の扉に大きな亀裂が走った。
「来る!」
蓮司が刀を構える。
レイも短刀を握り直す。
凛は水遁の構えを取った。
蒼真は風影刀を正面に構える。
そして――
扉が、ゆっくりと開き始めた。
第58話・完




