第57話「風影刀の共鳴」
ゴォォォ……。
地下に風が吹き始めた。
蒼真の手の中で、風影刀が激しく震えている。
「この反応……」
凛が目を見開く。
「扉と風影刀が共鳴してる……」
「そうだ」
古びた忍装束の男が頷く。
「この扉は、風影刀を持つ者にしか開けられない」
蒼真が扉へ手を伸ばす。
すると――
キィィン……。
風影刀から放たれた風が、扉の紋章へ吸い込まれていく。
ゴゴゴゴゴ……。
巨大な石の扉が動き始めた。
「開く……!」
凛が息を呑む。
だが、男は険しい表情を浮かべていた。
「まだだ」
「え?」
「風影刀が反応しただけだ。扉を完全に開くには、風継ぎの力が必要になる」
蒼真が刀を握り直す。
「どうすればいい?」
「風を感じろ」
「また……?」
「風継ぎの力は、力任せに使うものではない」
男が蒼真を見る。
「お前は一度、それを学んだはずだ」
蒼真は目を閉じた。
周囲の音が消えていく。
風の流れ。
空気の揺らぎ。
扉の向こうから流れてくる、かすかな風。
「……分かる」
「何が?」
「扉の向こうに……風がある」
蒼真が一歩前へ進む。
「ならば、その風を導け」
蒼真は風影刀をゆっくり振る。
「風遁……」
風が刀身に集まる。
「風導!」
シュン!
風が扉の紋章へ流れ込んだ。
ゴォォォォン!
扉が大きく震える。
そして――
ゴゴゴゴゴ……。
巨大な石の扉が完全に開いた。
その先には、広大な地下空間が広がっていた。
壁には無数の古い巻物。
そして中央には一本の巨大な石碑。
蒼真が近づく。
「これ……」
石碑には、風影刀と同じ紋章が刻まれている。
その下には古い文字が残されていた。
凛が読み上げる。
「『風継ぎは、風を継ぐ者にあらず……』」
蒼真が続きに目を向ける。
「……『風を守る者なり』?」
男が静かに口を開く。
「それが風継ぎの本当の意味だ」
蒼真が振り返る。
「じゃあ、夜叉衆が探しているものは?」
男の表情が曇る。
「この地下には、古代の忍術だけではない」
「……何がある?」
「風影刀を生み出した者たちが、最後に封印したものがある」
その瞬間。
地下空間の奥から――
ドン!
大きな音が響いた。
凛が振り返る。
「今の音……何?」
男の顔から血の気が引く。
「まさか……」
蒼真が風影刀を構える。
「何がいる?」
男は震える声で答えた。
「封印されていたものが……目を覚ました」
第57話・完




