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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第2章「北東村・異変編」
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第56話「地下に潜む者」

「……待っていたぞ」


暗闇の奥から声が響く。


蒼真は風影刀を構えた。


「誰だ!」


凛も水遁の構えを取る。


「この地下に何があるの?」


二つの赤い目が、ゆっくりと近づいてくる。


カツ……。


カツ……。


足音だけが響く。


そして姿を現したのは――


「人……?」


古びた忍装束を身につけた男だった。


顔には傷があり、長い年月を地下で過ごしていたような姿をしている。


「お前……何者だ?」


男は蒼真の持つ風影刀を見る。


「その刀を持つ者が、ここまで来るとはな」


「風影刀を知っているのか?」


「ああ」


男の視線が鋭くなる。


「だが、お前はまだ風継ぎではない」


蒼真が眉をひそめる。


「……どういう意味だ?」


「風影刀を持っているだけでは、風継ぎにはなれん」


凛が一歩前に出る。


「じゃあ、何が必要なの?」


男は答えず、地下の奥を指差した。


「知りたければ、自分の目で確かめろ」


その瞬間――


ドン!


地下全体が揺れた。


「何!?」


男の表情が変わる。


「まずい……」


蒼真が振り返る。


「どうした?」


「夜叉衆が来る」


「夜叉衆!?」


男は地下の奥へ走り出した。


「ここに長居すれば、全員殺されるぞ!」


「待て!」


蒼真と凛も後を追う。


一方、地上では――。


「おらぁ!」


ゴウの大剣が振り下ろされる。


蓮司が受け止める。


「ぐっ……!」


地面が大きく沈む。


「蓮司!」


レイが横から斬り込む。


ゴウは大剣を引き戻し、短刀を弾き飛ばした。


「まだまだだな!」


「くそっ……!」


蓮司が距離を取る。


ゴウが祠を見る。


「そろそろ目的は達成されたか」


「目的?」


蓮司が睨む。


「お前ら……最初から蒼真を倒すことが目的じゃなかったのか?」


ゴウは答えず、笑った。


「気づくのが遅い」


その瞬間。


祠の入口から黒い煙が噴き出した。


「なっ……!」


レイが目を細める。


「中で何か起きてる」


ゴウが大剣を肩に担ぐ。


「さて……俺の役目も終わりだ」


「待て!」


蓮司が追おうとする。


しかしゴウは地面を蹴り、村の外へ消えていった。


「逃げた……?」


レイが呟く。


蓮司は祠を睨む。


「いや……逃げたんじゃねぇ」


「じゃあ?」


「蒼真たちが、地下に入ったことを確認したんだ」


蓮司は刀を握り直した。


「俺たちも行くぞ」


二人は祠へ向かって走り出した。


地下深く。


蒼真たちは、古びた扉の前に辿り着いていた。


男が振り返る。


「この扉の向こうに、お前が探している答えがある」


蒼真が扉を見る。


そこには、風影刀と同じ紋章が刻まれていた。


「……これが」


蒼真が手を伸ばす。


しかし男が止めた。


「待て」


「何?」


男は低い声で告げる。


「その扉を開ければ、もう後戻りはできない」


蒼真は迷わなかった。


「それでも開ける」


風影刀が光を放つ。


扉の紋章が、ゆっくりと輝き始めた。


第56話・完

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