第55話「地下への入口」
「風遁・風刃!」
蒼真の風の刃が夜叉衆の忍びへ迫る。
「同じ技を何度使っても!」
忍びが飛び退く。
だが、風刃は地面にぶつかった瞬間、方向を変えた。
「なっ……!」
「風は、まっすぐだけじゃない」
風刃が忍びの足元を切り裂く。
「ぐっ!」
その隙に蒼真が距離を詰めた。
「終わりだ!」
刀の柄が忍びの腹へ叩き込まれる。
「ぐはっ!」
忍びが倒れた。
「蒼真!」
凛が巻物を広げる。
「こっち!」
「何があった?」
「地下への入口がある」
凛が地図を指差した。
「祠の裏側。この場所に隠し扉があるみたい」
蒼真は村人たちを見る。
「みんなを安全な場所へ連れていこう」
「うん」
凛が村人たちを誘導する。
そのとき――
ズン……。
地面の奥から、低い音が響いた。
「今の音……」
蒼真が振り返る。
凛の顔が青ざめる。
「祠の方……」
「行こう!」
二人が祠へ向かう。
一方、村の入口では。
「そこだ!」
蓮司がゴウの大剣をかわす。
「今!」
レイが背後から斬り込む。
「遅い!」
ゴウが振り向きざまに大剣を振る。
レイは身を低くしてかわした。
「蓮司!」
「分かってる!」
蓮司が横から斬り込む。
ゴウの腕に浅い傷が入る。
「……ほう」
ゴウが傷を確認する。
「ようやく俺に届いたか」
蓮司が笑う。
「次はもっと深くいくぜ」
ゴウが大剣を握り直す。
「面白い」
その瞬間。
ズン……!
地面が大きく揺れた。
「なんだ!?」
蓮司が祠の方向を見る。
ゴウも同じ方向へ視線を向ける。
「……始まったか」
「何?」
ゴウは答えない。
ただ、不気味に笑った。
「もうすぐだ」
「何がだよ!」
ゴウは大剣を肩に担ぐ。
「お前たちが知る必要はない」
祠では、蒼真と凛が地面に刻まれた古い紋章を見つけていた。
「これ……巻物にあった印だ」
凛がしゃがみ込む。
蒼真が風影刀を近づける。
すると――
カチッ。
地面の奥から音がした。
ゴゴゴゴゴ……。
石の床がゆっくりと開いていく。
その先には、暗闇へ続く階段が現れた。
凛が息を呑む。
「地下……」
蒼真は風影刀を握った。
「行こう」
「大丈夫?」
「ああ」
蒼真は階段の先を見つめる。
「ここに、風影刀と風継ぎの秘密があるかもしれない」
二人が階段を下りようとした、その瞬間。
暗闇の奥から声が響いた。
「……待っていたぞ」
蒼真が足を止める。
「誰だ!」
返事はない。
ただ、暗闇の中で二つの赤い目がゆっくりと開いた。
第55話・完




