第54話「奪われた記録」
「風遁・風刃!」
蒼真が放った風の刃が、夜叉衆の忍びへ飛んでいく。
「甘い!」
忍びが身を翻し、風刃をかわす。
その隙に凛が駆け込んだ。
「今!」
「分かってる!」
蒼真が一気に距離を詰める。
「ぐっ……!」
刀の柄が忍びの腕を打ち、巻物が宙へ舞った。
「取った!」
凛が巻物を掴む。
「村人を頼む!」
「任せて!」
凛が村人たちの前に立つ。
その瞬間、別の忍びが背後から襲いかかった。
「凛!」
蒼真が風を纏って突っ込む。
「風遁・風走!」
一瞬で凛の前に移動し、攻撃を弾き飛ばした。
「助かった……」
「怪我は?」
「大丈夫」
凛は巻物を抱え直す。
「でも、これ……普通の記録じゃない」
「何か分かるのか?」
「少しだけ」
凛が巻物を開く。
そこには古い文字と、祠の奥に描かれた地図があった。
「この印……」
「知ってるのか?」
「祠の地下にある場所だと思う」
蒼真が目を見開く。
「地下……?」
そのとき。
「返してもらうぞ」
夜叉衆の忍びが二人の前に立った。
「その記録は、俺たちが何年も探していたものだ」
凛が巻物を握る。
「だからって、村人を巻き込んでいい理由にはならない!」
「村人などどうでもいい」
蒼真の表情が険しくなる。
「……そうか」
風が周囲に集まり始める。
「なら、絶対に渡さない」
一方その頃。
「ぐおおっ!」
ゴウの大剣が地面を砕く。
蓮司は横へ飛び退いた。
「危ねぇ!」
レイが反対側から斬り込む。
「はっ!」
キィン!
短刀がゴウの肩を狙う。
しかし、ゴウは腕で受け止めた。
「遅い!」
「なっ……!」
ゴウがレイを振り払う。
蓮司がすぐに斬り込む。
「レイ!」
「分かってる!」
二人は同時に距離を取った。
蓮司が息を整える。
「こいつ、力だけじゃねぇ」
レイがゴウを見る。
「攻撃を見てから動いてる」
ゴウが大剣を構える。
「ようやく気づいたか」
「……ってことは」
蓮司が刀を握り直す。
「真正面から攻め続けても勝てねぇってことだな」
「なら、隙を作る」
レイが低く身を構える。
「俺が動きを止める」
「頼む!」
二人が同時に駆け出した。
その頃、村の奥では――。
蒼真が夜叉衆を睨みつけていた。
「来い」
風影刀が静かに輝く。
「ここから先は、一歩も進ませない」
夜叉衆の忍びが印を結ぶ。
「ならば、その力ごと奪ってやる!」
村の中で、二つの戦いが激しくぶつかり始めた。
そして凛の手にある古い巻物には、まだ誰も気づいていない一文が記されていた。
『風継ぎが目覚めし時、地下の扉は開かれる』
第54話・完




