第53話「守るべきもの」
「助けて!」
村の奥から響いた悲鳴。
蒼真の顔色が変わる。
「村人が……!」
ゴウが大剣を構え直す。
「よそ見している暇があるのか?」
「蒼真、村の方は私たちが行く!」
凛が村の奥へ駆け出す。
「俺も行く!」
レイも続こうとする。
だが、蒼真が振り返った。
「いや、レイ。ここは頼む!」
レイが足を止める。
「……分かった」
蒼真は凛の後を追った。
「逃がすか!」
ゴウが大剣を振り上げる。
その前に蓮司が立ちはだかった。
「行かせねぇよ」
ガキィン!
大剣と刀が激しくぶつかる。
「貴様一人で俺を止めるつもりか?」
「一人じゃねぇよ」
レイが蓮司の隣に並ぶ。
「二人だ」
ゴウが口元を歪める。
「二人増えたところで何が変わる?」
レイが二本の短刀を構える。
「試してみればいい」
「頼りにしてるぜ、レイ!」
「任せろ」
ゴウが大剣を振り下ろす。
「まとめて叩き潰してやる!」
一方、蒼真と凛は村の奥へ走っていた。
「声はこっち!」
「分かった!」
角を曲がった瞬間、二人の目に村人たちの姿が入った。
数人の村人が、黒装束の忍びたちに囲まれている。
「夜叉衆……!」
蒼真が風影刀を抜く。
「村人を離せ!」
夜叉衆の忍びが振り返る。
「来たか、風継ぎ」
「何が目的だ!」
忍びは懐から古びた巻物を取り出した。
凛の表情が変わる。
「それ……祠の記録?」
「そうだ」
「どうしてそれを……!」
「北東の祠に残された記録には、風影刀の秘密が記されている」
忍びが巻物を握る。
「俺たちはその先にあるものを探している」
蒼真が風影刀を強く握った。
「……渡さない」
「お前に止められるか?」
「止める」
風が蒼真の周囲を舞い始める。
「村人も、この記録も……」
風影刀が淡く輝く。
「俺が守る!」
忍びたちが一斉に構える。
凛も水遁の構えを取った。
「蒼真、一緒に行くよ」
「ああ!」
二人は同時に地面を蹴った。
その頃、村の入口では――
ゴウの大剣が地面を叩き割る。
「逃げ場などないぞ!」
蓮司が刀を構え直す。
レイも短刀を低く構えた。
「こいつ……本当に強いな」
「だからこそ、止める」
二人の前で、ゴウが笑う。
「さあ、始めようか」
村を守る戦いが、本格的に始まった。
第53話・完




