第50話「黒牙のガク」
蒼真とガクの刀がぶつかる。
ガキィン!
「重い……!」
蒼真が押し返される。
ガクは笑った。
「風遁使いにしては、力があるな」
「お前こそ……!」
蒼真が風をまとって踏み込む。
「風遁・風刃!」
風の刃がガクを襲う。
しかし――
「黒炎遁!」
黒い炎が風刃を飲み込んだ。
「蒼真!」
蓮司が横から斬り込む。
ガクは刀で受け止める。
「邪魔だ!」
蹴り飛ばされた蓮司が地面を転がる。
「蓮司!」
レイがガクの背後へ回る。
「隙あり」
二本の短刀が閃く。
ガクは振り返らず、黒炎を放った。
「黒炎遁・炎壁!」
レイは飛び退く。
凛が印を結ぶ。
「水遁・水流!」
大量の水が黒炎へぶつかる。
ジュッ!
炎が一瞬だけ弱まった。
「今!」
蒼真が突っ込む。
「風遁・風刃!」
ガクが刀で受ける。
「この程度か!」
蒼真はさらに力を込める。
風が強くなる。
「まだ終わってない!」
ガクの足元が揺らぐ。
「……!」
蒼真の風が黒炎を押し返した。
ガクは後方へ飛ぶ。
「風影刀……少し力を引き出せるようになったか」
蒼真が構える。
「どういう意味だ?」
ガクは答えない。
「今日はここまでだ」
「逃がすか!」
蒼真が追おうとする。
しかし、ガクの周囲に黒炎が広がった。
「黒炎遁・黒煙!」
視界が完全に塞がれる。
「くっ!」
煙が晴れた時には、ガクの姿は消えていた。
蓮司が立ち上がる。
「また逃げられたな」
蒼真は刀を握りしめる。
「……あいつ、俺の力を知ってる」
凛が不安そうに呟く。
「夜叉衆は、蒼真のことをかなり前から調べてるのかも」
レイが頷く。
「次は、もっと強い奴が来る」
蒼真は遠くの森を見る。
「なら、俺たちも強くなる」
その頃。
森の奥でガクは一人、黒い札を握っていた。
「風継ぎは目覚め始めた」
札に描かれた四つの紋章。
その一つが、ゆっくりと光った。
「次は……俺より強い奴を出すか」
第50話・完




