第47話「風の幻影」
風の試練場。
蒼真の前に立っているのは、自分と瓜二つの姿だった。
「……俺?」
幻影は何も答えない。
ただ、蒼真と同じように刀を構えた。
「俺と戦えってことか」
次の瞬間――
幻影が消えた。
「速い!」
蒼真が振り返る。
ガキィン!
背後からの斬撃を、風影刀で受け止める。
「くっ……!」
幻影は蒼真と同じ動きをする。
風遁。
回避。
斬撃。
すべてが同じだった。
「俺の動きを読んでる……!」
蒼真は距離を取る。
幻影も同じように距離を取った。
「だったら――」
蒼真が風遁を使う。
「風刃!」
幻影も同時に風刃を放つ。
二つの風刃がぶつかり、消滅する。
「同じ術じゃ勝てない」
蒼真は刀を下ろした。
幻影も刀を下ろす。
「……そういうことか」
蒼真は目を閉じる。
「お前は俺自身なんだな」
幻影が動く。
だが、蒼真は動かなかった。
「なら、俺から攻撃する必要はない」
幻影の刀が迫る。
その瞬間、蒼真は風の流れだけを感じ取った。
「そこだ!」
身体をわずかにずらす。
幻影の攻撃が空を切った。
蒼真は風影刀を振る。
幻影の身体が風となって崩れていく。
『力ではなく、風を理解したか』
声が響く。
蒼真は息を整える。
「……俺は、まだ強くなれる」
石碑が光る。
『試練を終えよ』
同時に、試練場の景色が消えた。
蒼真の前には、石門が見えていた。
外から戦いの音が聞こえる。
「蓮司たち……!」
蒼真は走り出す。
石門の向こうでは、蓮司、凛、レイが敵と戦っていた。
「蒼真!」
蓮司が叫ぶ。
蒼真は風影刀を抜いた。
「待たせたな」
敵の忍びたちが蒼真を見る。
「風継ぎ……!」
蒼真の周囲に風が集まる。
「今度は、俺も戦う!」
第47話・完




