第4話「謎の忍び」
屋根の上に立つ黒装束の忍び。
蒼真は刀に手をかけた。
「お前は何者だ?」
忍びは答えず、蒼真をじっと見つめる。
「その額……黒影衆の印か」
「質問に答えろ」
蒼真が一歩前へ出る。
蓮司が腕を掴んだ。
「待て、蒼真。任務は偵察だろ」
「分かってる」
蒼真は忍びから目を離さない。
「でも、こいつが何者なのか確かめないと帰れない」
隊長が二人の間に入る。
「我々の任務は敵軍の情報収集だ。ここで戦う必要はない」
黒装束の忍びが初めて口を開いた。
「その判断は正しい」
「何?」
「お前たちでは、俺には勝てない」
蓮司が眉をひそめる。
「随分な自信だな」
忍びは蓮司を見る。
「お前は雷遁か」
「……!」
蓮司の表情が変わる。
「どうして分かった?」
「動きを見れば分かる」
忍びは再び蒼真を見る。
「だが、お前は少し違う」
「俺が?」
「ああ」
忍びの視線が蒼真の周囲へ向く。
「風が、お前の動きに合わせている」
蒼真は驚く。
自分の風遁を、初対面の相手に見抜かれた。
「……何者なんだ、お前」
忍びは答えなかった。
「その力は、まだ目覚めたばかりだ」
「どういう意味だ?」
蒼真が問いかけた瞬間、砦の奥から兵士たちの声が聞こえてきた。
「いたぞ!」
「屋根の上だ!」
隊長が叫ぶ。
「全員、撤退!」
蒼真は忍びを睨みながら後退する。
「待て!」
しかし、忍びは蒼真の前から姿を消していた。
「消えた……?」
蓮司が周囲を見る。
「蒼真、今の奴……」
「分からない」
蒼真は拳を握る。
ただ一つだけ分かった。
あの忍びは、自分の風遁について何かを知っている。
そして――
その存在が、蒼真の初任務に不気味な影を落としていた。
第4話・完




