第36話「凛、黒影衆へ」
北東村を出た蒼真たちは、黒影衆の里へ向かっていた。
「凛、本当に来てよかったのか?」
「うん。私も夜叉衆のことを知りたい」
蓮司が振り返る。
「それにしても、凛は何者なんだ?」
「私?」
「神社にいた理由も気になる」
凛は少し黙った。
「……あの神社で暮らしてたの」
蒼真が尋ねる。
「一人で?」
「うん。昔から」
それ以上、凛は話さなかった。
蒼真も無理には聞かなかった。
しばらくして、黒影衆の里が見えてきた。
門番が凛を見る。
「その子は?」
「今回の任務で出会った。夜叉衆について知ってる」
「分かりました」
三人は本部へ向かった。
影宗は凛を見ると、少し驚いた。
「……神社の娘か」
凛が顔を上げる。
「私を知ってるんですか?」
「ああ。名前だけだがな」
蒼真が尋ねる。
「師匠、どういうことです?」
影宗は凛から視線を外さない。
「その神社は、昔から黒影衆とも関わりがある」
蓮司が驚く。
「じゃあ、凛も?」
「それは本人から聞くべきだ」
凛は黙っていた。
影宗は蒼真を見る。
「今回の件、詳しく話せ」
蒼真は北東村で起きたことを説明する。
そして最後に、風影刀の秘密について話した。
影宗の表情が険しくなる。
「……風継ぎか」
「師匠も知ってるんですか?」
「ああ」
蒼真が一歩近づく。
「なら、全部教えてください」
影宗は少し考えた。
「今はまだ早い」
「どうして?」
「お前が知れば、夜叉衆だけでなく別の敵にも狙われる」
蒼真は黙る。
影宗は続けた。
「だが、一つだけ言っておく」
「何ですか?」
「風影刀を持った以上、お前はもう普通の忍びではいられない」
蒼真は刀を見つめる。
凛も静かにその言葉を聞いていた。
その夜。
里の外れでは、一人の忍びが黒い札を地面に置いていた。
「風継ぎ、黒影衆に入る……」
忍びは立ち上がる。
「これで、次の段階へ進める」
第36話・完




