第33話「神社の少女」
「村の人たちは、あそこにいる」
少女が指差したのは、神社の奥にある古い社だった。
蒼真は少女を見る。
「君は、この神社のことを知ってるのか?」
「少しだけ」
蓮司が尋ねる。
「名前は?」
少女は少し迷ってから答えた。
「……凛」
「凛か。俺は蓮司。こっちは蒼真」
蒼真が軽く頭を下げる。
「よろしく」
凛は蒼真の腰にある風影刀を見つめた。
「その刀……」
「知ってるのか?」
「ううん。でも、その刀を持ってる人を待ってた」
蒼真の表情が変わる。
「俺を?」
凛は頷いた。
「ずっと前から」
蓮司が驚く。
「どういうことだ?」
凛は社の方へ歩き出した。
「来て。ここで話す」
三人は社へ向かう。
扉を開けると、床には無数の黒い札が並べられていた。
蒼真は警戒する。
「これが村人を消した原因か?」
「違う」
凛は首を横に振る。
「札は、村人を守るために置かれたもの」
「じゃあ、誰が村人を連れていった?」
凛は答えない。
その代わり、社の奥にある壁を指差した。
そこには、風を操る忍びの姿が描かれていた。
蒼真は息を呑む。
「また、この壁画……」
前に見たものと同じだった。
凛が呟く。
「ここには、昔から伝わる話がある」
「どんな話だ?」
「風を受け継ぐ忍びと、それを奪おうとした一族の話」
蒼真の手が風影刀へ伸びる。
「その一族って……」
凛が答える。
「夜叉衆」
その瞬間。
外から足音が聞こえた。
蒼真と蓮司が同時に振り返る。
凛の顔が青ざめる。
「……来た」
社の外に、黒装束の忍びたちが姿を現した。
先頭の男が笑う。
「風影刀を持つ者が、ようやく現れたか」
蒼真は刀を抜く。
「お前たち……何を知ってる?」
男は答える。
「その刀の本当の力をな」
第33話・完




