第32話「謎の神社」
北東の村へ向かう山道。
蒼真と蓮司は、並んで歩いていた。
「この前の村とは別の場所なんだよな?」
「ああ。今回は、その北にある神社が調査対象だ」
「村人が自分から神社へ向かったっていうのが気になるな」
蒼真も頷く。
「誰かに操られてる可能性もある」
しばらくすると、二人の前に村が見えてきた。
だが、村へ入った瞬間――
「……静かだな」
蓮司が呟く。
人の姿がほとんどない。
蒼真は周囲の風を感じる。
「家には人がいる」
「分かるのか?」
「風の流れで分かる」
一軒の家から、老人が出てきた。
「黒影衆の方ですか?」
「はい。村で何が起きているのか教えてください」
老人は神社の方を見る。
「あそこです」
「神社?」
「村人が、夜になると神社へ向かうんです」
蓮司が尋ねる。
「戻ってきた人は?」
老人は首を横に振った。
「誰も戻ってきません」
蒼真は神社を見る。
山の中に、古びた鳥居が立っている。
「……あそこから、風が流れてくる」
蓮司が刀に手を添える。
「行ってみるか」
「ああ」
二人は神社へ向かった。
鳥居をくぐった瞬間――
蒼真の風影刀が、微かに震えた。
「また反応した」
「この神社と刀に関係があるのか?」
「分からない」
二人が境内を進む。
すると、拝殿の前に黒い札が一枚落ちていた。
蒼真が拾おうとした瞬間。
「触るな」
背後から声がした。
二人が振り返る。
木の陰に、一人の少女が立っていた。
「その札に触れたら……戻れなくなるよ」
蒼真は少女を見つめる。
「君は誰だ?」
少女は答えなかった。
ただ、神社の奥を指差した。
「村の人たちは、あそこにいる」
第32話・完




