第31話「新たな異変」
蒼真は修練場で風遁の修行を続けていた。
「風遁……!」
風の刃が木の的を切り裂く。
「少しは安定してきたな」
蓮司が腕を組んで見ている。
「まだまだだ」
蒼真は短刀を見つめる。
あの隠れ里で手に入れた風影刀。
今では、風遁を使う時に自然と風が集まるようになっていた。
そこへ一人の忍びが走ってきた。
「蒼真、蓮司! 黒羽様がお呼びだ!」
「また任務か?」
「急ぎらしい」
二人は顔を見合わせる。
「行こう」
本部へ向かうと、影宗が地図を広げて待っていた。
「北東の村から、再び連絡が入った」
蒼真が地図を見る。
「この前の村ですか?」
「いや、別の村だ」
影宗が指を移す。
「三日前から、村人が次々と姿を消している」
蓮司が眉をひそめる。
「また夜叉衆?」
「可能性はある。だが、今回は妙な報告がある」
「何ですか?」
影宗は蒼真を見る。
「消えた村人たちは、全員が同じ場所へ向かっていたらしい」
蒼真の表情が変わる。
「自分から?」
「ああ」
影宗は地図を指した。
「村の北にある古い神社だ」
蒼真は風影刀に手を添える。
「調べに行きます」
「今回は調査が目的だ。無理に戦うな」
「分かりました」
蒼真と蓮司は本部を出る。
蓮司が小さく息を吐いた。
「また面倒な任務になりそうだな」
「でも、放っておけない」
二人は北東の村へ向かって歩き始めた。
その頃――
誰もいない古い神社の奥で、一人の男が静かに目を開いた。
「……風影刀が動いたか」
男の口元に、薄い笑みが浮かんだ。
第31話・完




