第30話「帰還」
洞窟を出た蒼真と蓮司は、山道を下っていた。
蒼真は腰に差した短刀を見る。
「この刀、どうする?」
「黒影衆に報告するしかないだろ」
「だよな」
二人は村へ戻り、村人たちの無事を確認した。
「ありがとうございました」
村長が頭を下げる。
「助かったのは、みんなが協力してくれたからです」
蒼真は笑って答えた。
村を後にすると、二人は黒影衆の里へ向かった。
しばらく歩いたところで、蓮司が口を開く。
「最初の任務から、いろいろあったな」
「初任務で敵の忍びに会って、夜叉衆と戦って……」
蒼真は苦笑する。
「普通じゃないな」
「お前が言うなよ」
二人は笑った。
やがて、黒影衆の里が見えてきた。
門をくぐると、影宗が待っていた。
「戻ったか」
蒼真は一歩前へ出る。
「報告があります」
「聞こう」
蒼真は村で起きたこと。
夜叉衆との戦い。
古い隠れ里。
そして、手に入れた短刀について話した。
影宗は黙って聞いていた。
「……その刀を見せろ」
蒼真が短刀を差し出す。
影宗は刀身を見た瞬間、目を細めた。
「やはり……」
「師匠、知ってるんですか?」
影宗は答えなかった。
「詳しい話は後だ。今日は休め」
蒼真は納得できない表情を浮かべる。
「……分かりました」
二人が立ち去った後。
影宗は短刀を見つめる。
「風影刀……」
その名を口にした瞬間、表情が険しくなった。
「まさか、今になって目覚めるとはな」
一方、蒼真は自分の部屋へ戻った。
初任務。
夜叉衆。
謎の短刀。
そして、自分の風遁。
分からないことは多い。
それでも、一つだけ確かなことがあった。
「もっと強くならないと」
蒼真は刀を握った。
こうして、蒼真の最初の任務は終わった。
しかし――
ここから始まる戦いは、まだ序章にすぎなかった。
第30話・完




