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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第1章「忍びの里編」
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第29話「風遁の修行」

夜叉衆が去った後。


蒼真たちは洞窟の奥で休んでいた。


老人は蒼真の前に座る。


「お前は風を力で動かそうとしている」


「違うんですか?」


「ああ。風は命令するものではない。感じ取るものだ」


蒼真は目を閉じる。


「感じ取る……」


洞窟の中を風が流れる。


「目を閉じろ」


蒼真は言われた通りにする。


「周囲を見ようとするな。風だけを感じろ」


静かになる。


風が頬を撫でる。


「……分かる」


「何が分かる?」


「蓮司が右にいる」


「正解だ」


蓮司が驚く。


「俺、動いてないぞ?」


老人が笑う。


「風は動いた者の存在も伝えてくれる」


蒼真はさらに集中する。


遠くの木々。


洞窟の入口。


地面の小さな隙間。


「……全部、風で分かる」


老人が頷く。


「それがお前の風遁の第一歩だ」


蒼真は目を開ける。


「もっと強くなりたい」


「ならば、力を求める前に風を理解しろ」


蓮司が笑う。


「いい修行になったな」


「ああ」


蒼真は短刀を握る。


その刀身を風が静かに包み込んだ。


「この力……絶対に使いこなす」


老人は黙って蒼真を見つめていた。


そして、小さく呟く。


「その力を狙っている者は、夜叉衆だけではない」


蒼真はその言葉を聞き返そうとした。


しかし老人は、もう何も話さなかった。


第29話・完

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