第26話「狙われた風遁」
村の火が消えた後。
蒼真と蓮司は、村の外れに座っていた。
「やっぱり、俺を狙ってると思うか?」
蒼真が黒い札を見る。
蓮司は腕を組む。
「分からない。でも、あの札に『風』って書いてあったのは気になる」
蒼真は短刀を見る。
「この刀も、俺の風遁に反応した」
「つまり、夜叉衆はその刀とお前の風遁を知ってる」
「そういうことになる」
その時、村の中から声がした。
「蒼真!」
二人が振り返る。
助けた少女が立っていた。
「どうした?」
少女は小さな布袋を差し出した。
「これ……森で拾ったの」
蒼真が受け取る。
中には、古い紙が一枚入っていた。
「地図……?」
蓮司が覗き込む。
紙には、山の中にある場所が記されている。
「さっきの隠れ里じゃないか?」
蒼真は地図を見る。
「いや……その奥だ」
地図の端に、小さく文字が書かれていた。
『風を継ぐ者へ』
蒼真は息をのむ。
「俺のことなのか……?」
その時、森から小さな物音がした。
蒼真が立ち上がる。
「蓮司、ここにいて」
「一人で行くのか?」
「すぐ戻る」
蒼真は森へ入った。
しかし、数分後。
「……誰もいない」
木の幹には、また黒い鬼の印が刻まれていた。
蒼真が手を触れる。
すると――
ビュッ。
風が吹いた。
印の奥から、かすかな声が聞こえる。
『その力を……手に入れろ』
蒼真は驚いて手を離した。
「今の声……誰だ?」
返事はない。
蒼真は急いで村へ戻った。
蓮司が駆け寄る。
「何か見つかったか?」
蒼真は首を振る。
「まだ分からない」
そして、手にした地図を見つめた。
「でも、この先に何かある」
第26話・完




