第25話「燃える村」
「……村の方だ!」
蒼真と蓮司は、山を下り始めた。
遠くから黒い煙が立ち上っている。
「まさか、夜叉衆が……」
「急ぐぞ!」
二人は村へ向かって走った。
村に着くと、家々の一部が燃えていた。
「火事だ!」
「水を持ってこい!」
村人たちが必死に消火している。
蒼真は周囲を見渡した。
「蓮司、村人を助けてくれ!」
「分かった!」
蓮司が消火を手伝う。
蒼真は燃えている家へ駆け込んだ。
「誰かいるか!」
「助けて……!」
奥から声がする。
蒼真は煙の中を進み、一人の少女を見つけた。
「大丈夫だ!」
少女を抱えて外へ出る。
「ありがとう……」
「もう大丈夫」
蒼真が少女を村人へ預ける。
その時、背後の森から気配を感じた。
「……いる」
蒼真は森を見る。
木々の間に、黒装束の影が一瞬だけ見えた。
「夜叉衆!」
蒼真は森へ走る。
「待て、蒼真!」
蓮司が追いかける。
しかし、森へ入った瞬間、影は消えていた。
「また逃げた……」
蒼真は地面を見る。
そこには黒い札が置かれていた。
拾い上げると、札には一文字だけ刻まれている。
『風』
蒼真の表情が変わった。
「……俺を狙ってる?」
蓮司が札を見る。
「その可能性は高いな」
蒼真は短刀を握り締める。
すると刀身から、わずかに風が吹いた。
「この刀と、夜叉衆……何か繋がってる」
二人は燃え続ける村へ戻った。
今回の襲撃は、村を壊すことが目的ではなかった。
蒼真自身を狙ったものだったのかもしれない。
第25話・完




