第21話「地下への階段」
古い建物の中。
蒼真と蓮司は、地下へ続く階段を見下ろしていた。
「かなり深そうだな」
蓮司が言う。
「何があるか分からない。気をつけよう」
二人はゆっくり階段を下りていく。
ギシ……ギシ……
古い階段が音を立てる。
「蒼真」
「何だ?」
「こういう場所って、だいたい何か出てくるよな」
「怖いのか?」
「怖くない。ただ、警戒してるだけだ」
蒼真は笑う。
「じゃあ先に行けよ」
「……お前が先頭だろ」
二人が小声で笑っていると、突然、蒼真が足を止めた。
「待て」
「どうした?」
「風がない」
蓮司も周囲を見る。
「地下だからじゃないのか?」
「違う。さっきまで階段には風が流れていた」
蒼真は目を閉じる。
「この先に……何かある」
二人はさらに進んだ。
階段の先には、大きな石の扉があった。
扉には古い文字が刻まれている。
蓮司が読む。
「『風を知る者のみ、扉を開く』……?」
蒼真が扉に手を触れる。
「風遁を使えってことか」
蒼真は目を閉じる。
周囲のわずかな空気の流れを感じ取る。
「ここだ」
蒼真が壁の小さな隙間へ手を伸ばす。
風を送り込む。
カチッ。
石の扉が動き始めた。
「開いた!」
扉の向こうには、広い地下室が広がっていた。
そして中央には、一つの古びた箱が置かれている。
蓮司が近づく。
「これが夜叉衆の探してるものか?」
蒼真は箱を見つめる。
「分からない。でも、ただの箱じゃない」
その瞬間。
背後から声が響いた。
「そこから離れろ」
二人が振り返る。
暗闇の中に、複数の人影が立っていた。
「夜叉衆……!」
蒼真が刀を抜く。
地下室に、敵の足音が響いた。
第21話・完




