第16話「黒い札」
黒影衆の里へ戻った蒼真たちは、すぐに本部へ向かった。
「黒羽様、報告があります」
蒼真が黒い札を差し出す。
影宗は札を見るなり、表情を変えた。
「……夜叉衆か」
「知ってるんですか?」
「名前だけはな」
蓮司が尋ねる。
「どんな奴らなんです?」
影宗は札を机の上に置く。
「各地で暗躍する忍びの集団だ。目的も頭領の正体も分かっていない」
「そんな連中が、なぜ村人を?」
「それも分からん」
蒼真は札を見る。
「でも、俺たちに向けて宣戦布告してきました」
影宗は頷く。
「だからこそ、今は慎重に動く」
その時、別の忍びが部屋へ入ってきた。
「黒羽様、報告です」
「何だ?」
「里の周辺で、不審な忍びが目撃されました」
蒼真と蓮司が顔を見合わせる。
「まさか……」
影宗は立ち上がった。
「全員に警戒を伝えろ。今夜から里の警備を強化する」
「はい!」
忍びが部屋を出ていく。
蒼真は影宗を見る。
「夜叉衆は、もう近くまで来ているんですか?」
「可能性は高い」
「なら、俺も戦います」
影宗は蒼真を見つめる。
「お前はまだ初任務を終えたばかりだ」
「でも……」
「焦るな、蒼真」
影宗の声は静かだった。
「敵が動いた時こそ、冷静でいろ」
蒼真は拳を握る。
「……分かりました」
その夜。
黒影衆の里には、いつも以上に多くの見張りが配置された。
だが、誰も気づいていなかった。
里を見下ろす山の上に、黒装束の忍びが立っていることを。
「黒影衆の里……」
忍びは手にした黒い札を見つめる。
「今夜はまだ、仕掛けない」
そして闇の中へ消えていった。
第16話・完




