第15話「夜叉衆」
翌朝。
村人たちの安全を確認した蒼真たちは、帰還の準備をしていた。
「蒼真、昨日の夜叉衆って奴ら、かなり厄介そうだな」
蓮司が荷物を背負う。
「村人を何人もさらってた。普通の忍びじゃない」
「それに、蒼真の風遁にも反応してたしな」
蒼真は黙って森を見る。
「……あいつらは、俺の風遁を知ってる」
「またそれか」
「気になるんだよ」
「まあ、確かにな」
その時、村の入口から一人の村人が走ってきた。
「待ってくれ!」
蒼真が振り返る。
「どうしました?」
「昨日の夜、森の近くでこれを見つけた」
差し出されたのは、一枚の黒い布だった。
そこには、昨日見た鬼の印が刻まれている。
蓮司が眉をひそめる。
「夜叉衆の印……」
蒼真は布を手に取る。
その瞬間、風が吹いた。
蒼真の表情が変わる。
「……血の匂いがする」
「え?」
「まだ近くにいる」
蒼真が森へ走り出す。
「おい、蒼真!」
蓮司も後を追う。
森の中を進むと、木の根元に小さな袋が落ちていた。
蒼真が拾い上げる。
中には黒い札が数枚入っている。
「これは?」
蓮司が覗き込む。
「忍術に使う札……か?」
蒼真が一枚を手に取った。
すると――
バチッ!
札から黒い煙が噴き出した。
「蒼真!」
蓮司が蒼真を引き離す。
煙は地面へ広がり、そこに文字が浮かび上がった。
『黒影衆よ。次はお前たちの番だ』
蒼真は険しい表情になる。
「……宣戦布告か」
蓮司が刀に手をかける。
「どうする?」
蒼真は黒い札を握りしめた。
「里に戻って報告する」
二人は急いで村を後にした。
その頃、森の奥。
一人の忍びが二人の背中を見つめていた。
「黒影衆と夜叉衆……」
忍びは小さく笑う。
「ようやく、動き始めたな」
第15話・完




