第13話「森の戦い」
「来い!」
蒼真が刀を構える。
黒装束の忍びが地面を蹴った。
「はっ!」
ガキィン!
刀と苦無がぶつかる。
蒼真は押し返そうとするが、忍びは素早く身を引いた。
「速い……!」
「蒼真、右!」
蓮司の声が飛ぶ。
蒼真が横へ飛ぶ。
直後、木の幹に苦無が突き刺さった。
「助かった!」
「よそ見するな!」
蓮司は村人たちを守りながら、周囲を警戒している。
忍びが再び蒼真へ向かってくる。
「風遁!」
蒼真の周囲に風が集まる。
「風刃!」
鋭い風が忍びへ飛ぶ。
忍びは身をひねってかわした。
「風遁か」
「知ってるのか?」
「その程度では、俺には届かない」
忍びが一気に距離を詰める。
蒼真は刀で受け止める。
ガキィン!
「くっ……!」
力では負けている。
蒼真は後ろへ飛び、風の流れを感じ取った。
「風は……力で操るんじゃない」
影宗の言葉が頭をよぎる。
蒼真は目を閉じる。
相手の動き。
木々の間を流れる風。
全てが繋がっていく。
「そこだ!」
蒼真が横へ動いた瞬間、忍びの攻撃をかわした。
「何!?」
蒼真の刀が忍びの腕をかすめる。
「今のは……」
蓮司が驚く。
蒼真自身も驚いていた。
「風が教えてくれた……」
忍びは傷を押さえる。
「面白い」
そして煙玉を地面へ投げた。
「また逃げるのか!」
煙が広がる。
だが今回は、蒼真が風を感じ取っていた。
「蓮司、左!」
「分かった!」
蓮司が走る。
煙の向こうから忍びが飛び出す。
蓮司の刀が、その行く手を塞いだ。
「逃がすか!」
忍びは後退する。
しかし、その隙に蒼真が回り込んでいた。
「終わりだ!」
刀を突きつける。
忍びは動きを止めた。
「……なるほど」
口元に笑みを浮かべる。
「お前たちは、ただの新人ではないらしい」
その瞬間、遠くから別の忍びの声が響いた。
「撤退しろ!」
黒装束の忍びは一瞬で森の奥へ消えていった。
蒼真は追おうとしたが、蓮司が止める。
「村人を置いていけない」
「……そうだな」
蒼真は刀を収める。
戦いは終わった。
だが、敵はまだ森の奥にいる。
第13話・完




