↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影狼ノ忍  作者: 次男坊
第4章「夜叉衆暗躍編」
PR
110/182

第110話「十分間の攻防」

『00:09:58』


『00:09:57』


赤い数字が、一秒ずつ減っていく。


制御核の光は消えていない。


人質の首元に刻まれた誘爆印も真紅に染まったままだ。


蒼真は玄岳から目を離さず叫んだ。


「地下にある管を全部探す!」


「全部って、何本あるんだよ!」


蓮司が土遁の忍と刀を打ち合わせながら返す。


「分からない!」


「分からねぇのかよ!」


「だから探すんだ!」


玄岳が黒雷を纏う。


「話している余裕があるのか?」


バチッ!


黒雷が走った。


蒼真は風影刀を横に構える。


ガキィン!


衝撃が腕まで突き抜けた。


「ぐっ!」


玄岳は止まらない。


「黒雷遁・雷鳴煙!」


黒い雷を帯びた煙が周囲へ広がる。


視界が一気に悪くなる。


蒼真は目を細めた。


「また煙か……!」


その奥では、獅堂の黒煙も広がっている。


黒雷の煙。


獅堂の黒煙。


二つが地下空間を覆っていく。


「見えない!」


凛は人質たちの前から動けない。


炎遁の忍が煙の中から印を結んだ。


「火遁・火走!」


地面を這う炎が人質へ向かう。


「水遁・水流!」


凛が水を放つ。


ジュウウウッ!


炎が消え、大量の蒸気が立ち上った。


だが――


「上だ!」


人質の一人が叫ぶ。


凛が顔を上げる。


獅堂が天井近くまで跳んでいた。


「守ってみろ!」


両腕の鉤爪が振り下ろされる。


「水遁・水壁!」


ドォン!


鉤爪と水壁が激突する。


「くっ……!」


凛の両足が石床を滑る。


獅堂が力任せに押し込む。


「さっきより弱くなってるぞ!」


「ずっと……守ってるんだから……!」


凛の額から汗が落ちる。


「それでも――」


水壁が膨れ上がる。


「退かない!」


水圧が一気に上がった。


「なにっ!」


獅堂が押し返される。


その瞬間。


凛が片手を前へ突き出す。


「水遁・水槍!」


鋭い水の槍が飛ぶ。


獅堂は鉤爪を交差させた。


バシュッ!


水槍が鉤爪にぶつかり、獅堂の身体を数歩押し戻した。


「へぇ……」


獅堂が笑う。


「守るだけじゃねぇか」


凛は息を切らしながら構え直した。


「当たり前でしょ」


その頃。


レイは雷遁の忍と激しく刃を交えていた。


キィン!


バチッ!


キィン!


雷を纏った苦無と二本の短刀が何度もぶつかる。


肩の傷から血が流れる。


それでもレイの動きは止まらない。


敵が踏み込む。


「雷遁・雷走!」


一瞬で間合いが縮まる。


レイは右の短刀で受ける。


左の短刀を相手の脇へ滑らせた。


ザッ!


「ぐっ!」


敵の身体が僅かに崩れる。


レイは追撃しない。


すぐに床を見る。


黒い光。


僅かに石の隙間を走っている。


「……見つけた」


敵が振り返る。


「何?」


レイは床へ短刀を突き立てた。


ガンッ!


石床が割れる。


その下から、細い黒い管が現れた。


「二本目」


雷遁の忍が目を見開く。


「させるか!」


雷を纏った苦無が振り下ろされる。


レイは管を切らず、横へ転がった。


「逃げたか!」


「違う」


レイは立ち上がる。


「切るだけでは危険だ」


「何?」


「流れを変える」


二本の短刀を逆手に持つ。


敵が再び突っ込んできた。


レイはぎりぎりまで動かない。


「雷遁・雷刃!」


苦無が迫る。


その瞬間。


レイは身体をずらした。


敵の苦無が――


ガキィン!


黒い管へ突き刺さる。


「……!」


雷が管へ流れ込んだ。


バチバチバチッ!


黒い光が逆流する。


制御核が大きく明滅した。


『00:08:21』


『00:08:20』


蒼真が振り返る。


「レイ!」


「一本、流れを乱した」


「そのまま探してくれ!」


「了解」


蓮司も土遁の忍と向かい合っていた。


「だったら俺もやる!」


「させると思うか!」


敵が両手を地面につける。


「土遁・岩柱!」


ドドドドッ!


巨大な岩柱が連続して突き上がる。


蓮司は走った。


右へ。


左へ。


岩柱をかわしながら、地面の黒い光を探す。


「どこだ……!」


また岩柱が突き上がる。


「そこか!」


蓮司が跳んだ。


岩柱の側面に、黒い管が露出している。


土遁の忍自身が地面を隆起させたことで、隠されていた管まで持ち上がっていた。


蓮司が笑う。


「自分で出してくれて助かったぜ!」


「しまっ――」


「遅い!」


蓮司の刀が走る。


ガキィン!


管に亀裂が入った。


黒い光が弱まる。


制御核が再び明滅した。


『00:07:42』


凛が数字を見る。


「まだ七分以上……!」


「いや」


蒼真は玄岳の攻撃をかわしながら答えた。


「時間だけ見ちゃ駄目だ!」


「どういうこと?」


「制御核の光が弱くなってる!」


玄岳の黒雷が蒼真の頬を掠める。


「余所見をするな!」


蒼真は風影刀を振る。


「風遁・風刃!」


玄岳が黒雷で弾く。


その衝撃で空気が大きく乱れた。


蒼真は目を閉じる。


「……」


風。


黒煙。


熱。


水蒸気。


仲間の動き。


敵の動き。


そして地下を走る僅かな空気。


その流れの中に、不自然な場所がある。


風が避けて通る場所。


石壁の内部。


蒼真の目が開いた。


「見つけた」


玄岳の表情が変わる。


「何を?」


「管だ」


蒼真が左側の壁を見る。


「壁の中に三本」


続いて床。


「床下に二本」


天井。


「上に……一本」


蓮司が驚く。


「そんなにあんのかよ!」


「少なくとも六本!」


玄岳が動いた。


「それ以上は言わせない!」


「黒雷遁・黒雷走!」


一瞬で蒼真へ迫る。


だが――


ガキィン!


横から鉤爪が飛び込んだ。


「……!」


蒼真が後退する。


獅堂だった。


玄岳と獅堂。


二人が並ぶ。


「面倒な風使いだな」


獅堂が鉤爪を鳴らす。


玄岳は黒雷を纏う。


「蒼真」


「何だ」


「ここから先は、私たち二人が相手だ」


黒雷と黒煙が同時に広がった。


蒼真は風影刀を握り直す。


「二人がかりか」


「怖いか?」


獅堂が笑う。


蒼真も構える。


「ちょうどいい」


風が足元を渦巻く。


「二人とも俺が引きつける」


蓮司が叫ぶ。


「おい! 一人じゃ――」


「その間に管を止めろ!」


蒼真は振り返らない。


「俺たちの目的は、こいつらを倒すことじゃない!」


蓮司が黙る。


レイが短く答えた。


「分かった」


凛も頷く。


「任せて」


蒼真の前で、玄岳の黒雷が強くなる。


獅堂の黒煙も地下を覆っていく。


『00:06:59』


残り七分を切った。


玄岳が消える。


獅堂も同時に走る。


「来い!」


蒼真が風を解き放った。


黒雷。


黒煙。


そして風。


三つの力が激突する。


ドォォォン!


その衝撃の中――


制御核の奥で、これまでとは違う音が鳴った。


カチッ。


凛が振り向く。


「……今の音、何?」


制御核の表面に一本の亀裂が入る。


その亀裂から――


黒い光ではなく、白い光が漏れ出していた。


第110話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。