第11話「夜の襲撃」
夜。
蒼真たちは村の中で身を潜めていた。
村人の話では、失踪が起きるのは決まって夜だった。
「本当に来ると思うか?」
蓮司が小声で尋ねる。
「分からない。でも、何かいる」
蒼真は目を閉じる。
風が村を通り抜けていく。
家々の間。
屋根の上。
森の方。
「……森から風が流れてきてる」
「何か分かるか?」
「まだ……」
その時だった。
カサッ。
森の中で枝が揺れた。
蒼真が目を開く。
「来た」
二人が立ち上がる。
次の瞬間――
黒い影が屋根の上を駆け抜けた。
「忍びだ!」
蓮司が刀を抜く。
蒼真も後を追う。
黒装束の忍びは、村の外へ向かっていた。
「待て!」
蒼真が屋根へ飛び乗る。
忍びが振り返り、苦無を投げる。
「危ない!」
蓮司が蒼真の前に出る。
カンッ!
苦無を刀で弾いた。
「助かった!」
「礼は後だ!」
二人は忍びを追い続ける。
しかし、森へ入った瞬間――
その姿が消えた。
「どこだ……?」
蒼真は周囲の風を感じる。
「……右!」
二人が同時に動く。
木の陰から忍びが飛び出した。
蒼真が刀を受け止める。
ガキィン!
「村人をどこへ連れていった!」
忍びは答えない。
蒼真が力を込める。
「答えろ!」
その瞬間、忍びの口元がわずかに笑った。
「お前たちは……まだ何も知らない」
「何を――」
忍びは煙玉を地面に叩きつけた。
白煙が広がる。
「くっ!」
煙が晴れた時、忍びの姿は消えていた。
蓮司が辺りを見る。
「また逃げられた……」
蒼真は拳を握る。
「でも、何かを隠してる」
その時、森の奥から――
「……助けてくれ!」
誰かの声が響いた。
蒼真と蓮司は顔を見合わせる。
「今の声……」
二人は声のした方向へ走り出した。
第11話・完




