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第10話「消えた村人」
翌朝。
蒼真と蓮司は、黒影衆の里を出発した。
今回の任務は、北東にある小さな村の調査だった。
「村人が何人か消えたって話、気になるな」
蓮司が歩きながら言う。
「敵の忍びが関わってるかもしれない」
「前の砦にいた奴と同じ連中かな?」
「まだ分からない」
蒼真は周囲の風を感じながら進んでいた。
しばらくすると、村が見えてきた。
だが――
妙に静かだった。
「……静かすぎないか?」
蓮司が呟く。
「そりゃ、消えたって話だからな…静かになるのは当たり前だろ?」
「全員か?」
村へ入っても、人の姿がほとんどない。
蒼真は近くの家を見た。
「誰かいるか?」
返事はない。
その時、家の裏から小さな物音がした。
蒼真と蓮司は同時に振り向く。
「誰だ!」
すると、物陰から一人の少年が姿を現した。
怯えた表情で、蒼真たちを見る。
「……忍び?」
「そうだ。何があった?」
少年は震えながら答えた。
「みんな……夜になると消えるんだ」
蒼真の表情が変わる。
「消える?」
少年は頷いた。
「昨日も……父ちゃんが消えた」
蒼真は村の奥を見る。
風が、村の中を通り抜ける。
その風に混じって――
かすかな血の匂いがした。
「……蓮司」
「ああ」
二人は刀に手をかける。
この村で何かが起きている。
そして、その何かはまだ村の中にいる。
第10話・完




