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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第4章「夜叉衆暗躍編」
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第105話「第三段階」

青白い光が地下室を包んだ。


中央の制御核から噴き出した黒雷が、床を走っていく。


バチバチバチッ!


蒼真は風影刀を構えた。


「……これが第三段階か」


玄岳は答えなかった。


ただ、制御核を見つめている。


その時だった。


地下のあちこちから、金属が擦れる音が響いた。


ガコン。


ガコン。


ガコン。


蓮司が周囲を見る。


「今度は何だよ……」


壁が開いた。


その奥から、小さな黒い札が次々と飛び出してくる。


「札……?」


凛が水を構える。


札は空中で停止すると、青白い光を放った。


「触るな!」


風遁使いが叫ぶ。


「それは起爆札じゃない!」


「じゃあ何だ!」


「術式を増幅する札だ!」


その瞬間。


黒い札から黒雷が放たれた。


バチィッ!


蒼真たちは一斉に散開する。


「くっ!」


床が黒く焦げる。


レイが札を見つめる。


「装置そのものが、攻撃してくるのか」


「第三段階では、制御核が自動で敵を排除する」


風遁使いが答えた。


「俺たちを……?」


「違う」


彼は首を横に振る。


「この地下にいる全員をだ」


蒼真の表情が変わる。


「村人もか?」


「そうなる」


「ふざけんな!」


蒼真が制御核へ向かって走る。


しかし玄岳が立ちはだかった。


「待て」


「どけ!」


「今、あれに触れれば黒雷が全方向へ流れる」


蒼真は足を止める。


「……」


玄岳は制御核を見る。


「第三段階では、直接破壊することもできない」


蓮司が苛立った。


「じゃあどうすんだよ!」


風遁使いが答える。


「制御核の周囲にある四つの術式を止める」


「また四つかよ……!」


蓮司が叫ぶ。


制御核の周囲。


先ほどまで見えなかった四つの円形の術式が浮かび上がっていた。


北。


東。


西。


南。


蒼真が目を細める。


「これを全部止めれば?」


「制御核の防御が消える」


レイが続ける。


「その後に制御核を止める」


風遁使いが頷く。


「そうだ」


凛が村人を見る。


「でも、その間も村人の印は……」


カチッ。


村人の首元が赤く光った。


凛の顔が強張る。


「時間がない」


蒼真は四人を見る。


「今度も分担だ」


蓮司が北。


レイが東。


凛が西。


蒼真が南。


それぞれの術式へ向かう。


しかし――。


玄岳が黒雷をまとった。


「そう簡単にはさせない」


蒼真が振り返る。


「まだ俺と戦うつもりか」


「俺の役目が終わるまではな」


玄岳が構える。


「第三段階を突破できるか、最後まで見届ける」


蒼真も構えた。


「なら、突破する!」


四人が同時に走り出す。


北へ向かった蓮司の前に、土遁使いが立つ。


「またお前か!」


「何度でも相手をする」


「こっちは急いでんだ!」


蓮司が踏み込む。


ガキン!


拳と刀がぶつかる。


東ではレイと雷遁使い。


「今度こそ止める」


「俺も止めさせない」


雷が弾ける。


西では凛と火遁使い。


「もう、村人には近づけさせない!」


「ならば水ごと焼き尽くす!」


黒炎が迫る。


そして南。


蒼真と玄岳。


「黒雷遁・黒雷走!」


玄岳が消える。


蒼真は目を閉じた。


「……」


風を感じる。


黒雷が空気を震わせる。


右。


蒼真が刀を振る。


ガキィン!


玄岳の拳を受け止める。


「読んだか」


「何度も戦ってきたからな」


蒼真が押し返す。


「お前の動きは、もう分かる!」


玄岳が距離を取る。


「ならば変える」


印を結ぶ。


「黒雷遁・雷影!」


黒い雷が三方向へ分かれた。


蒼真は一瞬迷う。


本体はどれだ。


一つ。


二つ。


三つ。


すべてが本物のように動く。


「……分からない」


その瞬間、背後から攻撃。


蒼真は振り返る。


ガキィン!


間一髪で受け止めた。


「これも読めるか?」


玄岳が笑う。


蒼真は押される。


「ぐっ……!」


しかし、足元に微かな風が流れている。


蒼真は気づいた。


「……そうか」


玄岳が眉を動かす。


「何?」


「黒雷が三つに分かれても……」


蒼真は風影刀を構える。


「身体の動きまで同じになるわけじゃない」


一閃。


風刃が玄岳の肩を掠める。


「ぐっ!」


玄岳が後退する。


その頃。


蓮司は土遁使いを押し返していた。


「ここだ!」


北の術式へ到着する。


円形の術式へ刀を突き立てる。


しかし土遁使いが迫る。


「させるか!」


蓮司は刀を抜かずに、拳を受け止める。


「だったら――」


そのまま拳の勢いを横へ流す。


土遁使いがよろめく。


「これでどうだ!」


蓮司が術式へ刀を押し込む。


バキッ!


北の術式が砕けた。


「一つ!」


東。


レイは雷遁使いの攻撃をかわしながら術式へ到着。


「……ここだ」


短刀を突き立てる。


雷遁使いが背後から迫る。


「終わりだ!」


レイは振り返らない。


もう一本の短刀を後ろへ伸ばす。


ガキィン!


攻撃を受け止める。


そのまま身体を回転。


「消えろ」


短刀の柄が敵の腹へ入る。


敵が崩れた。


レイは術式へ短刀を突き立てる。


パキンッ!


東の術式が消えた。


「二つ」


西。


凛は火遁使いの黒炎を水で包み込む。


「水遁・水縛!」


炎の忍の動きを止める。


そのまま術式へ走る。


「これで……!」


水を集中させる。


「水遁・水槍!」


水槍が術式の中心を貫いた。


バキィッ!


西の術式も消える。


「三つ!」


残るは南。


蒼真は玄岳と戦いながら、最後の術式を見る。


玄岳が立ちはだかる。


「ここは通さない」


蒼真は風影刀を構えた。


「なら……倒す!」


風が一気に集まる。


「風遁・風刃!」


玄岳も黒雷を集中させる。


「黒雷遁・黒雷牙!」


風と黒雷が正面からぶつかった。


ドォォン!


衝撃で二人とも吹き飛ぶ。


蒼真は地面を転がる。


それでも立ち上がった。


玄岳も立ち上がる。


互いに息を切らしていた。


「……まだ立つか」


「お互い様だ」


蒼真が走る。


玄岳も走る。


拳と刀がぶつかる。


そして――。


蒼真は最後の術式へ向かって刀を振り抜いた。


「これで終わりだ!」


ザンッ!


南の術式が真っ二つに割れた。


四つの術式が同時に消える。


青白い光が一瞬、弱くなった。


「成功した!」


凛が叫ぶ。


だが――。


中央の制御核が、さらに強く輝いた。


玄岳の表情が変わる。


「……まだだ」


蒼真が振り返る。


「何?」


玄岳は制御核を見つめた。


「四つの術式が消えたことで……」


制御核の中心に、巨大な光が集まり始める。


「最終処理が始まった」


カチッ。


カチッ。


カチッ。


地下全体に、無数の音が響き渡る。


そして村人の誘爆印が――。


真っ赤に染まった。


第105話 完

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