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097 唯、じゃんけんに挑む。

巨大カニ…じゃなかった、バナナナのハサミに捕まっちゃった私。


すごい力で締めつけられてる…と思うんだけど、ちーっとも伝わってこない。優しくぎゅってされてるくらいの感じ。なんてったってバグステータス。魔王軍(まおうぐん)の最上級魔法を正面から受けたって大丈夫だったんだから、この程度。


『ぴよ?』―――ユイちゃん、助けたほうが良い?

「うん、大丈夫。フリルちゃんは…他のモンスター来ないように見張ってて。」

『ぴーよ』―――わかったー。


バサバサと軽い羽音(はおと)とともに、空中で旋回(せんかい)を始めた水色のもふもふ。フリルさまが警戒してくれてる以上、通りすがりの人とかが巻き込まれちゃうこともない。


―――よーし…チョキに対抗するんだから…じゃんけん。


作戦名は決まった。ハサミに対抗するんだから、グーしかないでしょ。明後日どころか1週間後くらいとんちんかんな理屈によって、作戦を変更した私。


へへん、作戦はこうだ。まず、力づくでここから脱出する。そして、スーパーマンみたいなジャンプでもって、グーをチョキに叩き込む。以上。…そのまま攻撃すれば良いだけだった気もするけど…そこはほら、ロマンですよロマン。


「よーし…ふんっ!」


メキメキという音とともに、ハサミでの拘束(こうそく)が緩まった。あいだをするりと抜けて、そのまま地上にシュタっと着地…はできなかった。ドテッ、へぶっ…。


―――な、なんかカッコつかないんだよな…。


ないものねだりをする私。そうそう、格好よさなんて求めてない。求めてない。ぐすん…。


「とりゃーっ!」


かけ声の是非(ぜひ)はさておいて、右腕を高々とかかげて大ジャンプ。狙いは…考えてなかったけど、こんな巨大なんだから、どっかには当たるでしょう。下手のなんとか数うちゃ当たる。


『バナッ!?』


またまたハサミでつかまれそうになったけど、今回は私の方がはやい。ふふふっ、追いつけるかな?風魔法で加速もしてるし、もう回避はできないぜよ。


―――よし…このまま…。


スピード(きょう)と化した私。風魔法の出力を上げて、全速力でカニに向かう。風をきる音すら置き去りにして、目に入りかけた前髪を振り払って…あ、おでこ…。


ちょっぴり恥ずかしかったけど…渾身(こんしん)の一撃は、ものの見事にバナナナの右腕?あたりを撃ち抜いた。


『バナナナーッ…』


ダメージ量が限界突破したようで、光の粒子となったカニ。そのままキラキラと霧散(むさん)し、地上からはボタボタとアイテムが落ちる音がする。厄介なモンスターだったけど、倒せたみたい。よかった、よかった。


―――…。


さてと…現実を受け入れますか…。


―――ど…どうやっておりれば…?


ジャンプの勢いそのままに、お空へと突き抜けていっちゃった私。フリルさまが旋回するあたりより、もう一段階ほどの高度。着地方法…何も考えてなかった…。


「ユイーッ!大丈夫ですかーっ?」

「ガ、ガーちゃん!お、落ちるぅぅぅわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


地上へと真っ逆さま。





「へぶっ!」


数秒の自由落下、地上と手痛いご対面。


「ユイ…大丈夫…ですか?」

『ぴぴよ…?』―――大丈夫…?

「う、うん…ありがと…。」


ガーネット姫とフリルさまの連携プレーによって、ダメージは欠片(かけら)もなかった。優しさの防御魔法に包まれたまま、地面に大穴を開けた私。


―――計画性…。


苦手なんだよね。どうも勢いが優先しちゃう。おっちょこちょいの原因だと思うんだけど、なかなか手に入れられないんだよね…。


あんまり静かなままだと心配されちゃうので、もぞもぞと動き出す。むくりと起き上がり、右手で勝利のブイサイン。


「勝ったー!」

「はい!」

『ぴよよー!』


特に強敵とかそういうわけじゃなかったけど、やっぱり勝てるとうれしいよね。それにアイテムもたくさんドロップしたみたいだし。


―――お宝…お宝…。


ぐへへ。





えーっと…私が開けちゃった3メートル級の大穴は…ちゃんとふさぎました。掃除もちゃんとしたし、壊しちゃった道路とかは…フリルさまに修復してもらったし。


「ありがとね。」

『ぴよ』―――いいよ、いつものことだし。


それはそれで辛いです。コホン…それはさておき。


「先に進もっか。」

「そうですね。ハナミズキ・タウンまで、もうすぐです。」


そう言って視線を振ったガーネット姫。その方向を見てみると。


「わぁ…海だ!」


私が岩やら何やら破壊しちゃった影響で、ずいぶん視界が開けちゃった。怪我(けが)の功名。海が一望できる、最高の絶景スポットをつくり出した私。新しい観光地を作っちゃたかも。えっへん。


「あの浜辺あたりが、ハナミズキ・タウンです。王都やヒマワリの町のように、町としての設備はそれほどありませんが…商店がたくさんあって、楽しい町ですよ。」

「ふぇー。焼きそばとかあるのかな?」


もう頭は「海の家」でいっぱい。焼きそば、かき氷…串焼きとかもあると良いな…。食欲暴走中の私。苦笑いのガーネット姫。おなかをつんつんと突っついて、自制を促してくれてるフリルさま。


楽しい道中、まだまだ続きそう。えへへ。

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