085 唯、あやまる。
「よーし、一件落着!」
ぐーすかトリオはぐーすか寝てるし、残りの3人も確保完了。敵のボス、マーズとはひと悶着あったけど…魔法でぐーすかトリオの仲間入りをしてもらった。ぐへへ。一応、フリルさまに周囲の確認をしてもらってるけど…他に敵影はなさそうだ。
『ぴよぴぴよ』―――ユイちゃん!大丈夫だよー、ガーネットちゃんたちも無事だよー!
「よかったー!」
『ぴよ?』―――裏口のそばにいるから、呼んでこようかー?
「私、そっち行くよ。」
『ぴーよ』―――おっけー!
羽ばたきを緩めて、ゆっくりと私の頭上に着地したフリルさま。アホ毛に足をひっかけて、上手にバランスをとってる。安定したのを確認して、裏口に向かって一直線。
―――と、その前に…。
現実を受け入れなきゃ…。軽く深呼吸をして、くるりとターンした私。そして入口の状況を確認する。
「…。」
入口付近は大穴があいて、扉ごと崩壊してた。
現実逃避しようと上を向いたら、天井にも大穴があいてた。
あきらめて後ろを向いたら、テーブルとカウンターがバキバキに壊れてた…。
『ぴよ…』―――ユイちゃん…。
「…。」
『ぴよよ…』―――屋内でのデコピン禁止で…。
「…うん。」
このままだと、どっちが悪者かわかんない…。
■
「ガーちゃん!」
裏口のそば、木陰に隠れてたガーネット姫に声をかける。近くにはホッと安堵した様子の職員さんたちが。はじめまして。
「ユイ!」
「全部片付いたよ。」
「さすがです。」
「えへへ。ガーちゃんも。」
魔王軍に気づかれず、7人も救出するのは…結構大変だったと思う。
―――私だと…たぶん一瞬で気づかれて…。
力押しで何とかするオチにしかならない。ギルドの人たちにも怖がられて、どっちが敵かわかんない惨状をつくり出した可能性すら…。
「あの…お取込み中、申し訳ありません。あなたがユイさんですか?」
「はい。冒険者のユイです。はじめまして。」
「はじめまして。ギルドマスターのログと申します。救出いただき、ありがとうございました。」
オールバックにギルドの制服。目の下にはくっきりとクマが出てて、ここしばらく大変だったことがうかがえる。あと…とっても失礼だけど、クロックさんと比べちゃうと…ちょっぴり頼りない雰囲気が…。
「いえ。」
「お礼もそこそこで申し訳ないのですが、魔王軍のほうは…?」
「全員捕えましたよ。6人。」
「…。」
とっても微妙な間があいた。疑われてるわけじゃないと思うけど。
■
とりあえずギルドのなかへ。
「ほ…本当に魔王軍を…。」
ぐーすか寝てる6人を見て、びっくり固まっちゃったギルドの皆さん。驚きついでみたいで申し訳ないんですが…。
「あの…捕まえるときに…そこらじゅう壊しちゃいまして…。ご、ごめんなさい!」
頭を下げた私。さすがに室内であること忘れてた私が悪い。マーズを投げ飛ばしたのは仕方ないかもだけど、捕まえて普通に眠らせちゃえばよかった…。
「ユイをもってしても…すさまじい戦いだったのですね。わっ!天井にも穴が…。」
「いや…えっと…投げ飛ばす方向がおかしかったというか、室内ということを考えてなかったというか…その、ごめんなさい。」
「…いえ、そんなことはどうでも良いのです。建物は私たちがいくらでも直せますから。それよりも…一体、どうやって…。」
許してもらえたのかな。わかんないけど、魔王軍に壊されるよりはましだった…のかな。
「ガーネット姫殿下…。ユイさんは一体…?」
「ユイは私の友だちです。強くて優しくてかわいい、最強の冒険者です。」
「な…なるほど。」
ガーネット姫に褒められた。うれしい。
「ユイ、王都に連絡をとりたいのですが…。」
「あ、そだね。魔王軍も連行しなきゃだし。フリルちゃん、お願いしても良い?」
『ぴよぴぴよ』―――ごめんね、王都に行くのはちょっと…。
「そっか。うーん…。」
ピコンとひらめいた私。まぁ、移動しなきゃで思いつく方法なんて、ひとつしかない。そう、即席ジェットコースターふたたび。
「ガーちゃん、フリルちゃん。皆さんのこと、よろしく。」
「はい。」
『ぴぴよ』―――任せて!
壊しちゃった扉を活用して、後部座席の設置完了。氷魔法で箱を作って、魔王軍を山積みに。怪しまれること必定なので、ガーネット姫にもらった添え状を「この印籠が目に入らぬかー!」みたいに掲げて出発進行。
―――起こした方が良いかな…。
ぐへへ。ハラグロモードがひょっこり顔を出すなか、ジェットコースターは加速する。目指すは王都ギルド。




