082 唯、作戦をたてる。
あまりの事態に、おかんむりなガーネット姫。一緒に目指すは、この町のギルド。
「本当にもうっ!あんなひどいことを見過ごすなど…ギルドは何をやっているのでしょう!」
プンスカプンといった感じで、かなり早足のガーネット姫。魔王軍が相手で仕方ない部分もあるのかもだけど、それなら王都に応援を求めるべきだと思う。町の人たちは危ないから難しいと思うけど、ギルドは組織。魔王軍がのさばっている現状は、この国の安全に直結する大問題。メンツとか言ってる場合じゃないはずだし。
それから歩くこと数分。ギルドに到着した私たち。ヒマワリの町のギルドと比べると、少しこじんまりとした印象を受ける木造の建物。入口のドアは半開きだし、外壁もところどころが壊れてる。
―――なんだか…。
気味の悪い感じがする。人の気配がないというか、嫌に静か。まさか「オバケ騒動」の再来かと、ちょっぴり背筋が冷たくなる私。
「…ガーちゃん、なんかおかしくない?」
「…そうですね。まだお昼なのに…静かすぎます…。」
「ちょっと…あそこから覗いてみよっか。窓あるし。」
「はい。」
抜き足差し足、大回りしつつ建物に近づく。右手に小窓を見つけたので、そこからなかの様子を…。
―――ん…見えない…。
ちょっぴり高さが足りなかった私。おでこがギリギリ届いてるくらいな感じ…惜しい。頑張ってつま先立ちしてるんだけど…あと数センチ…。足場になりそうなものもないので、ガーネット姫にお任せ。
「どう…?」
「うーん…誰もいませんね…。あ、奥の部屋に…!?」
「ガーちゃん?」
「ユイ、大変です!ギルドの職員さん、捕まっています!」
「えっ!?」
驚きのあまり声が大きくなってしまった。一旦、ここから離れよう。
「捕まってるっていうことは…さっきのやつらに?」
「いえ、さきほどの連中が犯人ならば、呑気にここを離れたりはしないと思います。きっと仲間が。」
「仲間…?」
何かの気配を感じて、木のかげに身を隠した私たち。ギルドの入口付近をじっと見つめる。
―――また真っ黒コーデ…魔王軍だ。
服装はさっきの連中と変わらないけど、ふんぞり返って偉そうな雰囲気満載。
『おい、遅いぞ。』
『す、すみませんマーズ様。ちょいと手間取りやして…。』
『ふんっ!はやくよこせ。』
『へ、へい。』
さっき八百屋さんであった連中が、へいこらしながら野菜を差し出してる。どうやらマーズなる人物が親玉らしい。
『これだけか。』
『すみません…。』
奪い取るようにして麻袋を受け取ったマーズ。そのままギルドの中へと消えていった。
「…ガーちゃん。ギルドの人たち、助けれそう?」
「正面からだと…厳しいかもしれません。奥にまだ敵がいるかもしれませんし…。」
「そうだよね…。うーん…。」
捕まってる人たちの安全が第一。魔王軍だけなら前みたいに凍らせちゃえば解決だけど、ギルドの人たちの身が危なくなっちゃう。
「…!そうだ、フリルちゃん。」
『ぴよ?』―――どしたの?
「ギルドのなかの様子、見たりできる?」
『ぴよよ』―――任せて!
フリルさま、見た目はかわいらしい小鳥そのもの。キレイな水色だからちょっぴり目立つけど、鳥なら大丈夫だと思う。
フリルさま、そのままギルドの上空をぐるりと一周。入れそうな場所を見つけたみたいで、ギルドの裏手に急降下。待つこと数分。
『ぴよぴよ』―――ただいま!
「おかえり、どうだった?」
『ぴよぴぴよ』―――捕まってる人は7人だね。みんなギルドの服着てたし、きっとギルドの人だと思うよ。
「ギルドマスター、登録担当、売買担当、クエスト担当、事務官、警備が2人…人数的にもあってます。どうやら、全員捕まってしまっているようですね。」
『ぴよよ』―――敵はね、さっきペコペコしてた3人と、親玉の1人。あと、ギルドホールに2人。合計で6人だね。
地面をキャンバスに、ギルド内を図示してみる。…へたっぴだけど、この際、そんなことは後回し。伝われば大丈夫、うん…伝われば…。
「こんな感じ?」
『…ぴよ』―――…うん。だいたい。
微妙な間があったけど、その意味は追い求めないことにしよ。多分、私がショックを受けるだけ…。わかってる…絵、苦手なんだもん…。
『ぴよぴよ』―――裏口の鍵は、ボクがなかから開けられるから。
「では、私が裏口から入って、ギルドの皆さんを救出します。」
「うん。それじゃあ、私は正面から。魔王軍、コテンパンに。」
作戦はまとまった。




