表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/156

029 唯、異変を察知する。

ちょっと食べ過ぎたお腹をいたわりつつ、ガーネット姫とギルドへ。




「うぅ…食べ過ぎました…。」




どうやらガーネット姫も食べ過ぎたらしい。ごはん、おいしいもん。仕方ない。お腹をさすりさすり歩く2人。




「あれ…?なんだか静かですね。」



「そう…ですね。何かあったのでしょうか?」




ギルドまであと数十メートルといったところで、ちょっとした違和感。こんな朝早くに訪れるのは初めてだから何とも言えないけど、ギルドは町の中心地。やっぱりおかしいと思う。入口に警備のお兄さんはいるけど、他に誰も見当たらないのだ。




「行ってみましょう。」




回復しかけたお腹から手を離し、小走りでお兄さんに近づく。




「あ、ユイさんにガーネット姫ではありませんか。おはようございます。」




お腹がちょっと無理だったので、途中でペースダウン。誤解されると申し訳ないので、元気に挨拶(あいさつ)だけは返しておく。




「おはようございます。」



「朝早くにすみません。」




すると何かを思い出したような表情で、お兄さんが続ける。




「ちょっとここでお待ちいただいてもよろしいですか?ギルドマスターを呼んできますので。」




ガーネット姫と一緒にぺこりと頭を下げると、警備のお兄さんはギルドのなかへ。やっぱりいつもと様子が違う。何もなければ良いんだけど。



しばらくお腹をさすっていると、ギルドマスターのクロックさんが裏口から出てきた。あいかわらず扉にぶつかりながら。もう、扉自体をなくしちゃう方向が良い気すらしてしまう今日このごろ。




「ユイ殿!おはようございます。すみません、ちょっと会議と準備でてんやわんやでして…。」



―――やっぱり、何かあったんだ。



「あの、それで大丈夫なのでしょうか?」




先に言葉が出たのはガーネット姫だった。私も続く。




「状況はどんな感じなんですか?」




質問の(あらし)に困惑したクロックさんは、なだめるようなしぐさで続けた。




「あ、いえ…もう少しで準備は終わると思います。あの、ユイ殿やガーネット姫も参加していただけるのですか?」




問われずとも。




「もちろんです!」



「はい!」




この町の危機、立ち上がらなければ。食べ過ぎに若干の後悔を感じつつ、高鳴る鼓動を感じる。




「わ、わかりました。気合十分ですね。」




そりゃもちろん。




「こちらが参加券です。いやー、今年は盛り上がりますね!」



―――参加…券…?




なんだろう、話がかみ合っていない気がする。手渡された参加券とやらに目を移すと、答え合わせができた。




「丸太早切り大会のご案内…?」



―――…。



「はい!今日は年に一度、この町の最強を決める『丸太早切り大会』の日なんです!ご覧ください、あちらでは参加予定者の皆さんが準備の真っ最中です!」




ガーネット姫とともに目を移すと、そこには腕のマッサージをしたり、のこぎりの調子を整えたりする参加者の皆さんが。それで人通りが少なかったのか。




「会場はギルドの裏手、訓練場になりますので。時間に遅れないよう、お集まりください!では!」




以上、といった感じでギルドへ戻ったクロックさん。またしても扉を破壊して。




「…。」



「…あの…帰りましょうか…?」




なんだか心配して損した気分。完全に力が抜けてしまった。



…なんて考えていたけど、私が優勝賞品「お食事券100枚」をもらったのは、それからわずか3時間後の出来事だった。ちなみにガーネット姫はブービー賞の「プライアント人形」をもらっていた。それがガーネット姫の抱き枕となったことは、そう遠くない未来の話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ