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122 唯、壊す。

「さてと…朝ごはんの準備ですね。えーっと…たしかお味噌が残って…。」

「すぴー。」


 むにゃむにゃ…もう食べられましぇん…。


『ぷや!』

「ふぎゃっ!?」


 ヒヤッと来たーっ!

 わき腹つんつんをもろにくらい、飛び起きた私。

 小さい頃から苦手なんだよね、こしょこしょ。


―――的確に弱点を突かれてる…プラちゃん…なかなかやりおる…。


 せめてもの抵抗…プラちゃんにジト目を向けてみた。

 じーっ…。


『ぷやや?』

「おはよ。」

『ぷや!』


 ぐぬぬ…かわいすぎて何も言えない。


「ガーちゃん。」

「あら?ユイ、まだ休んでいて大丈夫ですよ?」


 エプロン姿のガーネット姫。

 お花の刺繍がされてて、なんだろう…品を感じる。

 さすがに私だけ寝てるのは…うん。


「えっと…私も料理がんばってみようかな…なんて。」

『ぴよっ!?』

「…フリルちゃん。そんなに慌てなくても、大丈夫だって。」

『ぴよよ…』―――成長に成長痛はつきもの…。

「…。」


 やっぱり失礼なこと思われてるけど、もとの世界ではちゃんと一人暮らししてたんだから。

 パスタとか作ってたんだから…あ、パスタは茹ですぎてたんだっけ…。

 オ、オムライスとかも作っ…あ、真っ黒こげなオムレツ作ったの、あの時だっけ…。


―――…。


 こほん。

 失敗ばかり思い出しちゃったけど、ちゃんと生活してきたもん。


「それでは…シヤークの下処理をお願いします。」

「へい喜んで!…えっ?」


 ハードル…高すぎない?


―――ヤバい未来しか見えない…。


 その後しばらく記憶がないんだけど、きっとうまくできたんだよね。

 なんかまな板が真っ二つになってるし、包丁も曲がっちゃってるけど…大丈夫、フリルさまが修理してくれる。


―――…。


 こほん…。

 シヤークの煮つけ、とってもおいしかった。

 見た目は、やっぱりあれだったけど。


「シヤーク、すっごいおいしいね!」

「ですね。こんなにおいしいとは…。」


 (はし)が止まんない。

 ガーネット姫の味付けセンスがすごいのはもちろんなんだけど、シヤークそのものの味が…淡泊(たんぱく)ななかにうま味が凝縮されてて…何に似てるかな。


―――キンメダイとかその辺かな?


 おいしいものをたくさん食べれて、朝からテンション上がりまくりな私。

 今朝の眠気はどこへやら。


「…ユイ。あの…たまご焼きは…なんといいますか、もう少しお勉強が…。」

「はい…がんばります…。」


 視線を向けないようにしてたんだけど、現実は受け入れないとね。

 ちょっと色と見た目がモンスターっぽくなっちゃった…たまご焼き。

 なんだろう、焦っちゃうんだよね。


―――フライパン曲げちゃったし…。


 焦げ付きそうなのに気づいたとこまでは良かったんだけど、フライパンをぎゅって握ったのがまずかった。

 バグステータスのせいかおかげか、フライパンの持ち手がぐにゃっと…。


『ぴよよ』―――でも、食べれる部分があるだけ成長だよ。

「そうですよ。私だって、昔はへたっぴだったんですから。」

「がんばんないと…いつまでもガーちゃんに頼ってるわけにもいかないし。」


 パクっとたまご焼きを詰め込んだ私。

 に、苦い…。


『ぷや?』

「あ…プラちゃん、食べない方が良いかも…。」


 責任を持って、私が食べますので…。


『ぷや!』

「?」

『ぷやや!』

「え…おいしいの?」

『ぷや!』

『ぴ…ぴよ?』―――プラちゃん…?


 味覚は人それぞれ…じゃなかった、モンスターそれぞれだもんね。

 焦げてるとこはさすがに良くないから、こっちをあげよう。


『ぷや!』


 幸せは十人十色。





 えっせらほっせらお片付け。

 テントは返してきたし、仮設キッチンもお掃除終わり。

 生ごみ…コホン、食材を下処理したときに出た、食にはちょっと適さない部分は…フリルさまがおいしくバリボリしてくれた。


『ぴよ…』―――うーん…シヤークのしっぽは、あんまりだったなぁ…。

「フリルちゃん、ありがと。」

『ぴよよ』―――大丈夫、おいしいから!あ、ユイちゃんも食べる?

「えっと…遠慮しときます。」


 そういえば、あれをまだ片付けてなかったかも。

 てとてとキャンプを設置してた場所へ…何もないんだけど。


―――なんだかんだで楽しかったなぁ。


 キャンプなんて何年ぶりのことかわかんないけど、星空の下はとっても気持ちよかった。


「よいしょっと…ガーちゃん、こっちはオッケーだよ。」

『ぴよ!』―――ボクも!

「はい。私ももう少しで。…あとは、プラちゃんを。」


 ちょっと俯いたガーネット姫。

 本当はもう少しハナミズキ・タウンにいるつもりだったんだけど、予定がちょっと変わった。

 原因は主に私…。


―――出力ミスっちゃったのがな…。


 シヤークの群れを追い回すべく使った魔法…オーバーロード・アンビアンス。

 出力調整を失念した結果、とんでもない威力で発動してしまった。

 範囲は限られてたから問題ないと思ってたんだけど、余波がいろいろと…。


『ぴよよ…』―――モンスター…逃げちゃったんだよね。

「…ごめんなさい…。」


 この辺りでしばらくレベル上げを…なんて考えてたんだけど、その影響で予定が全部吹き飛んじゃった。


「ごめんね、ガーちゃん…。」

「いえ。どの道ハナミズキ・タウンの周辺ではレベルの限界がありましたし、ユイがいればどんな強敵に挑んでも問題ありませんから。レベルアップがより早くなったと思えば、はい。」


 そうだよね。

 私、がんばる。


『ぷやや?』

「しばらく会えませんけど…絶対、迎えに来ますからね!」

『ぷや!』


 というわけで、プラちゃんをギルドへ。

 フィールドでも全然問題なさそうだけど、プラちゃん…思ったより好奇心旺盛だった。

 そもそも私たちに近づいてきた時点で…うん。


―――ヤバい場所とか行っちゃいそうだし…。


 ギルドのなかならその点安心。

 漁師の皆さんにも話は通してあるし、ハナミズキ・タウンのマスコット的存在としてかわいがってもらえる予定。


「では…よろしくお願いします。」

「はい。お任せください。姫…ゴホンッ…ガーネットさんがお戻りになるまで、私どもが責任を持ってプラちゃん様のお世話を。さぁプラちゃん様!最高級のエステをご用意しておりますよ!さぁさぁ!」

「…。」


 なんだろう…。

 いろいろツッコミたいとこはあった気がするけど、大事にしてもらえるなら問題なし。

 そんなこんなでハナミズキ・タウンの一件、これにて無事閉幕。


―――あ、フリルちゃん。フライパンの修理…よろしく…。

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