119 唯、最強装備を手に入れる。
権力によって「プラちゃんどうするか問題」はなんとかなった。
しばらくはこの町にいると思うけど、これでハナミズキ・タウンを旅立つことになっても大丈夫。
―――ちゃんと迎えに来てあげないとね。
レベルを上げて、専用の魔法を習得すれば万事解決。
それまでは時間かかりそうだけど、目標があると頑張れるもんね。
―――ジャイアントさんには…申し訳ないけど…。
きっと…きっとだよ、ただの私の予想だけど…今、ガーネット姫の頭のなかに…ジャイアントさんの名前、ない気がする。
こほん…それはさておき。
ガーネット姫の腕の中でうつらうつらしているプラちゃん。
『ぴよ』
やっぱり甘えたくなったのか、フリルさまも私の右肩にとまって頬ずりしてくれてる。
「くすぐったいよぉ…。」
『ぴいよ』―――いいの。
かわいいもふもふを抱えたまま、みっつめの用事を。
「すみません。あと、配送をお願いしたいんですけど…。」
「はい。梱包はお済みですか?」
漁師さんからいただいた発泡スチロールの箱を取り出す。
ガーネット姫に教えてもらって、しっかりと密閉はしたから大丈夫だとは思うけど…一応確認してもらおう。
―――氷魔法でかためてるし…魔法もかけてるし。
なまものだけど、大丈夫なはず。
「えっと…こんな感じで大丈夫ですかね?」
ぐるりと箱をみまわした受付のお姉さん。
「えーっと…はい、大丈夫です。どちらまでの配送をご希望ですか?」
「ヒマワリの町のギルドマスター、クロックさんへお願いします。」
そう、箱のなかみは「シヤーク」3匹。
お手数かけっぱなしのクロックさんへ、せめてものお礼とお詫びを。
「わかりました。こちらの配送票にユイさんのサインをお願いします。」
さらさらって筆記体でサインできれば格好良いんだけど、そんなこと私にできるはずもなく…。
ユイってカタカナで大きく書いてみた。
わかりやすいし、これが一番だよね。
誰から来たのかも一目瞭然だし。
「はい。お願いします。」
「明後日には届くと思いますので。」
「よろしくお願いします。」
これで用事はひと通り終了。
いつもなら…ガーネット姫が「次はどこに行きますか?」って聞いてくれる頃合いなんだけど、今回ばかりは…うん。
プラちゃんを抱っこして、あやすように揺れているガーネット姫。
いつにも増して優しい表情。
―――もうちょっと…ゆっくりして行こ。
クロックさんへのお礼も送ったし、慌てる用事もないことだし。
というわけで。
「ガーちゃん!」
「はい?」
きょとんとしてるガーネット姫。
その真似をしているプラちゃん。
「海…行こ!」
「あの…ユイ、泳ぎは…?」
そう、泳げないんだけど…私は最強のアイテムを手に入れてる。
「へへん…大丈夫!」
「それは!」
見た目はドーナツだけど、食べれない。
わっか状で中には空気が入ってて、私が探し求めていたもの。
「じゃじゃーん!浮き輪!」
「わぁっ!」
…鼻高々で取り出すようなものでもなかった気がするけど…喜んでもらえたみたいだし、まぁ…オッケーかな。
「あ…水着がいりますね。」
「そっか…忘れてた。」
浮き輪を買ったのに、水着を買わなかった私。
何やってるんだろう…。
「買いに行きましょうか。」
「うん!」
■
というわけでやってきたのが、スポーツショップ。
浮き輪を買ったとことは別のお店だけど、ビーチボールとかも置いてあるのが見えたし…水着もあるはず。
「いらっしゃいませー!」
元気の良いお姉さんに迎えられた私たち。
「あの、水着を探してるんですけど…置いてありますか?」
「もちろん!こちらへどうぞー!」
案内された一角には、色とりどりの水着が。
―――すごっ!
もとの世界とも引けをとらない品揃え。
というわけでキャッキャキャッキャしながらガーネット姫と品定め。
「よーし、これにしよ!すみません、ここで着替えさせてもらっても良いですか?」
「どうぞー!」
というわけで試着室をお借りして…。
ごそごそ…あ、フリルさま?覗いちゃだめだよ?
『ぴよ…』―――なんか…あらぬ疑いをかけられているぴよ…。
えへへ。
「じゃーん!どう?」
モデルさんのポーズを真似してみた私。
形から入るのって、大事だよね。
「ユ、ユイ!?」
「へ…?」
「あの…おなか…出てます…。」
―――…。
「おなかでてる!?」
メンタルに9999のダメージを負いました。
どうも、バグステータスでもこの攻撃は防げません…22歳、乙女なユイです…。
「…えっ?あ、いえ、そういう意味では…!あ、ユイ…ごめんなさい!」
「おなか…でてる…おなか…。」
どよーんと落ち込んでるふりをしてみた。
まぁ…さすがにわかってる。
フリルさまならいざ知らず、ガーネット姫は突然にそんな攻撃してこないもん。
『ぴよ…』―――やっぱり濡れ衣ぴよ…。
ガーネット姫が言ったのは、セパレートタイプの水着だから…おなかが出ちゃってる…ってこと。
物理的な話。
太っ…こほん、ふくよかな感じを表現したかったわけじゃない。
この水着、お姫さま的にはNGなのかも。
―――…だよね?
「いや…あの…良いとは思うんですが、日焼けも気になるところですし…こういったタイプの水着の方が…。」
「そ…そだね。」
こほん…着替えまーす。




