表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/156

112 唯、しかけを設置する。

―――えーっと…このあたりで良いかな?


 なんでもわかる探知魔法(たんちまほう)と海図を見比べて、効率が良さそうな場所を選定中。

 フリルさまという名のスパコンが弾き出してくれたところによると、沖へ400メートルあたりが仕掛けを設置するベストポジションらしい。

 というわけで、その辺りで「即席ジェットコースター」をゆっくり停止。


「ガーちゃん、ちょっと待っててね。」

「はい。」


 後部座席にちょこんと座ってる私の親友兼お姉ちゃんことガーネット姫。

 もう少々お待ちくださいませ。


 まずは シヤーク の行動範囲を制限しなきゃいけない。

 シヤークを誘導する作戦もフリルさまに伝授(でんじゅ)してもらったんだけど、ハナミズキ・タウンの方へ逃げ込まれるとさすがに一大事。

 レベルは低めとはいえ、狂暴な性格のモンスター。

 お魚問題解決の前に、町を守らなきゃいけなくなっちゃう。


『ぴよよ』―――ユイちゃん。ボクがポイントまで飛んでいくから、そこまで網はってね。

「うん。」


 普段は見せないフリルさまの全力飛行。

 びゅんというスゴイ音を残して、あっという間に視界の外へ。

 探知魔法で見てたけど、ものの数秒で(わん)の端から端までたどり着いてた。


「さすがフリルさまですね。」

「だね。速いの怖いって言ってたけど…。」


 自分で運転してるのと、助手席に乗ってるときとの違いかな。

 下手をしなくても、私のジェットコースターよりも速い気がする。


「…あ、止まったみたい。よーし…氷山の涙―――チップ・オブ・ザ・アイス!」


 ちょっと格好をつけて杖を一回転。

 海図を魔法の基本書に持ちかえて、練習済みの氷魔法を発動。



―――【氷山の涙】チップ・オブ・ザ・アイス

 自由自在に氷を展開する上級氷魔法の一。制御重視(コントロール)の氷魔法であるため、精密な範囲指定が可能となる。針のあなを通すような攻撃も可能だが、そのぶん威力が低い。足場の形成や、機動を補助するために用いられるのが一般的であり、補助魔法(アシスト)に分類されることもある

―――



 珍しく私の思い通りに進んでくれてる魔法の光、300メートルくらいを一直線に。


―――良い感じ!


 フリルさまがパタパタしてるであろう場所まであと少し。

 海上に幅10センチくらいの氷のコースがどんどんと形成されていく。

 上を歩くつもりはないけど、一応平行も維持してる。

 えっへん。


「よいしょっ!」


 そのまま魔法を制御して、今度は海中方向に「氷魔法の網」を設置。

 網というよりも格子(こうし)に近いかな…これで海を湾内と湾外で分け隔てることができた。

 透明だからしっかりとは見えないけど、探知魔法で見る感じではうまくいってるみたい。


『ぴよよー!』―――ユイちゃん、良い感じ!

「えへへ。」


 私にしては珍しく、とんとん拍子に進む作戦。

 勢いそのままに作戦は第二段階へ。





 もう一度、氷魔法を展開。

 今度は海面にロの字の陸地を作る感じ。

 そうだね…一辺が50メートルくらいかな?


 海中にも同じ形になるように網を設置して、シヤークを追い込む入口だけ開けとく。

 これでシヤーク専用の「()」が完成した。


―――もうちょっと鋭角な方が良かったかな…?


 生け簀の入口は一度入ったら出られないよう、漏斗(ろうと)みたいな形にしてる。

 小さい頃に川で大冒険してた経験が、こんなかたちで役に立つとはね…。


「フリルちゃん、こんな感じで良いかな?」


 現場責任者ことフリルさまに確認。


『ぴよよ』―――うん。ガーネットちゃん的にはどう?

「そうですね…探知魔法で見た感じでも、大丈夫だと思います。」

「よかった。」


 ガーネット姫とフリルさま、両方のお墨付(すみつ)きをもらえた自信作。

 あとはここへ誘導するための網を設置して、片っ端からシヤークを追い込んでいくだけ。


 ちなみに陸地の幅は5メートルくらい確保してる。

 波の影響を受けたりしないように、ジェットコースターのコースを作るときみたく、ちょっとだけ空中に浮かせることも忘れてない。


―――順調、順調。


 なんて順調。

 怖いくらいに順調。

 雪でも降るんじゃないかな…?


 漁師さんたちの船団も順調に近づいてきてるし、あとはこの即席の陸地からシヤークをとっつかまえてもらうだけ。


「ガーちゃん、漁師さんたちと一緒によろしくね!」

「はい!任せてください!」

「フリルちゃんも!」

『ぴよ!』―――おっけー!


 両の手をぎゅっとにぎったガーネット姫。

 私の役割はここにシヤークを追い込んでくることなんだけど、シヤークはモンスター…海上にも攻撃を飛ばしてくることがある。

 それを防御魔法とかで防いでもらうのが、ガーネット姫の役割。

 フリルさまも空から警戒してくれてるし、結構安全な状況だと思う。


―――ガーちゃんの方が上手だし…。


 威力はバグステータス保証をもってる私だけど、精密な操作とかは…おっちょこちょいであわてんぼうなところが表にでちゃう私…。

 飛んでくる攻撃にカットインしたりとかは、ちゃんと魔法の操作とかできるガーネット姫に任せるが吉。


 というわけで、そのまま即席ジェットコースターの座席に飛び乗った私。

 風魔法でびゅんと加速して、フリルさまに教えてもらった魔法の準備をする。


―――えっと…。


 メモを何度も確認して、間違いのないようにしないと。

 フリルさま曰く、出力ミスるといろいろヤバいらしいし…。



―――

・「【溢れる才知の唄】オーバーロード・アンビアンス」を使って、魔法の力をまとう。

・びっくりしたシヤークが逃げる。

・出力を調整しないと危険。

・シヤークを追い回して、仕掛けに誘導する。

・シヤークがいなくなったエリアは、氷魔法の網で一時的にふさぐ。

―――



 これがフリルさまの大作戦。


―――追い回すって…大丈夫かな…?


 実行部隊が私なので、若干の不安が残ってる。

 あと、調整しないと危険…って、明らかにフラグな気がするんだけど、さすがにこのフラグは…早めにへし折っとこう。


 漁師さんたちの準備もできたみたいだし、そろそろ始めようかな。

 ゆっくりと息を吸って、探知魔法で最終確認。


「溢れる才知の唄―――オーバーロード・アンビアンスッ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ