26. 謎解きタイム
〇前回のまとめ
・ギルドマスターのレッセーにクロフォードが連行された。
・クロフォードはかなり影が薄いらしい。
・レッセーたちの暗号解読に参加した。
『 SARGA = 7166631
FEKETE = 2222244227722
××× = 63336665557 』
一見すると、意味がなさそうな数字の並びから規則性を見つけ出し、そこから文字に変換すると言うものだろう。
「SARGA」は5文字、これに対応する数字は7つ。
「FEKETE」は6文字で、数字の方は13となっている。
まず、「SARGA」の「7166631」を5つに区切ってみよう。
はい、無理です。
「FEKETE」の方も同じ。
となると、これだけでは答えの文字数すら分からない。
それなら、ヒントの文字に共通する文字がないか見てみる。
ありますね。
「SARGA」の中には「A」が2回出てきます。「FEKETE」では「E」が3回も。
そして数字の方を見てみると、
…………前者は「1」が2つ。後者には「22」が2つ以上。
このことから、「A」と「1」、「E」と「22」が対応していると分かる。
「S / A / RG / A」→「7 / 1 / 6663 / 1」
「F / E / K / E / T / E」→「222/ 22 / 44 / 22 / 77 / 22」
これで、「S」→「7」、「F」→「222」、「K」→「44」、「T」→「77」と、それぞれの対応数を発見。
取り敢えず、「R / G」→「666 / 3」と仮定して先に進む。
ここまで分かったことを、アルファベット表を使って整理してみよう。
A B C D E F
1 22 222
G H I J K L
3 33
M N O P Q R
666
S T U V W X
7 77
Y Z
この中に、
D E F R S T U
22 222 666 7 77
とありますね。どうやら規則性が見えていました。
どうやら、さっきの仮定も正しかったようです。
A B C D E F
1 11 111 2 22 222
G H I J K L
3 33 333 4 44 444
M N O P Q R
5 55 555 6 66 666
S T U V W X
7 77 777 8 88 888
Y Z
9 99
はい。今回の暗号はこんな感じになっていました。
これを「69996665557」に当てはめると答えが出ます。
「――ということで、正解は『PIROS』です!」
得意満面で暗号の解説をし、答えを宣言したエリン。
「…………って、何ですかコレ?」
知らない単語が出てきて内心で冷や汗をかく。
「…………【ピロスシティ】、火山と共に生きる街」
「ピロスか、なるほどなぁ。そこにヴェインたちはいるってわけか」
まだフェケテシティしかこの世界の地名を知らないため、エリンが焦ったのも無理はない。
(火山の近くか。きっと温泉とかあるのかな? いつか行ってみたいな~)
「…………お見事」
「さすがクロが見込んだだけのことはあるな。おかげで助かったぜ」
レッセーの言葉に、エリンはクロフォードの方を見る。
彼はしばしの無言の後、薄く頬を染めて俯いた。
クロフォードは意外性があるエリンなら、もしかするとこの暗号も分かるのではないかと期待していた。
まさか本当に解読してしまうとは、思っていなかったのだが。
「よし、集合場所も分かったことだし、早速行ってもらおうか!」
「え?」
確かに、これはアドベンチャーズの5人に宛てられた手紙である。本当ならば、すでにクロフォードも他のメンバーと共に出立していないとおかしい。
レッセーには何も不審な点はないはずなのだが……。
「それって、私も付いて行っちゃダメですかね?」
「ダメに決まってるだろ。緊急依頼は高ランクの連中で選ばれたヤツしか行かないのが原則だ。それに、アンタまだハンターになったばかりだろ。危険すぎる」
ですよね~。
「じゃあ、この依頼も無理そうですね」
この後、クロフォードはすぐに出立するだろう。
エリンが受注申請した依頼は、クロフォードの監督が条件だったので、単独では実行できない。エリンとしても、個人でという安全性に欠ける行動をするつもりはない。
「ああ、後でキャンセルしてきな」
「…………ゴメン」
「いえいえ、先輩が謝ることなんてないんですよ。もともと私が無理矢理頼み込んだものでしたし……」
クロフォードが置いてけ堀にされたことを密かにラッキーと考えていた。
やはり、他人の不幸を喜ぶような人間に幸せはやってこなかった。
(アレ? そういえば、どうして先輩は置いてかれちゃったんだろう?)
ふと沸き起こった疑問を投げかけてみた。
「…………どうせ皆で話している時に、居眠りでもしてたんだろ」
「………………」
レッセーが呆れて言うと、クロフォードはさっきと同じように俯いた。
どうやら図星みたいだ。
(しっかりせいっ。この根暗!)
♦
クロフォードは、いつでも移動ができるように常日頃からバッグに収容できる最低限の荷物しか持ち運んでいないという。
まだ経験の浅いハンターだと荷物の準備に時間を要し、迅速な行動ができない者も少なくないとか。これも優秀なハンターの要素の1つなのだろう。
否、優秀なハンターならば仲間に置いてけ堀にされることなどありえない。ましてや、うたた寝が原因でとか。
ヴェインたち他のメンバーにしてもそうである。レッセーの口ぶりからして、クロフォードのそのような失態は今に始まったことではない。
貴重な回復要因である彼がいなければ死傷のリスクが高まるだろうに。
そんなこんなで、早々にクロフォードは街を出た。
クロフォードを見送ったエリンは、依頼のキャンセルのために受付に向かう。
担当の受付嬢は、今朝と同じくイリーナだった。
「えっと、クロフォードさんが急用のため、この依頼をキャンセルすることになったんですけど……」
「はい、こちらですね。確認しますので少々お待ちください」
いちいち受付で手続きを経なきゃいけないのは、本当に面倒くさい。ネットって偉大だったんだなと、改めて現代の技術が浸透した社会に関心する。
「エリンさん、キャンセルの確認が取れました」
「じゃあ、代わりにこの依頼を――」
「キャンセル手数料が3,000フォートになります」
「キャンセルテスウリョウ?」
今、何と?
「はい。今回の依頼報酬が6000フォートだったので、その半分、3000フォートを手数料として頂きます」
「…………聞いてませんよ」
「こんなの常識ですよ♡」
顔を引きつらせるエリンに、ニッコリと微笑むイリーナ。
なぜだろう。彼女から底知れぬどす黒いモノを感じる気がする。
早速、昨日のお給料が露と消えましたとさ。
「なんてこったーー!!」
電話機を見て思いついたヤツ。




