御前試合
3回戦は4人の戦士を選ぶ最終戦となる。
すでに神官達12人が並び真ん中の玉座だけ空いてる状態だ。まだ女神は姿を現していない。
第1試合は、いかにも屈強な若者と色白赤髪のチャラ男の戦いだ。すでに結果は決まってると思われたが、なかなか決まらない。
赤髪のチャラ男は、ワインをビン飲みしながらフラフラしてる。ビンを手首に巻き付けてまさかのそれを振り回して武器代わりにしてる。
相手の剣が当たっても斬れないのでケイ素のチェーンなのだろう。長さも変化自在のようだ。
おかげで相手の屈強な剣士は間合いが測れない。
難儀していた。
そしてもっと難儀な事が…赤髪の身体が発光している。これは能力者の証だ。つまり倒した相手の魔力を我が身に蓄えられるのだ。
それも1つではない。赤髪は身体の至る所が光っている。ココに来るまで4人の魔力を奪っている。
驚くべきことは、普通能力者であっても1つ2つしか魔力蓄えられない。
が赤髪はすでに4人分の命を持っている。
つまり死んでも4回蘇生するのだ。
「死ぬのが怖くないって…スゴいな。そりゃ大会で飲酒出来るわけだ。」クリスタは背中に冷たい汗が流れるのを感じる。
ココまで勝ち残った奴らは、こんな奴らなのだ。
果たして自分が通用するのか…
そこに1人の女性が侍女たちにかしずかれながら玉座に座った。女神だ。
生まれたばかりの女神と聞いていたが、その姿は妙齢の女性だ。豊かな胸と二の腕と身体の至る所がふっくらとしている。
まるで豊穣の神デメテルのように。
「女神は姿形も年齢も全てコントロールできるそうだぞ?
神官達と合わせているんじゃないか?」と落ち着きのない男が話しかけてきた。
おかしな事に最終戦まで来ると見るから強そうな奴がいなくなった。この青年も中肉中背で青の髪に大きな青の瞳が可愛くさへある。オールバックで髪は尖っている。身体が発光してるので能力者だ。
彼は肌の色が黄みを帯びてるので命の数は分からないが武器らしい武器も持っていない。
と言うクリスタも粗末な道具屋で最安値の剣しか持っていないが。
「何でも先の女神が男問題で500年の平和が崩れたらしい。何も無ければ人口も半分以下まで減ることも無かったらしいよ。女神は僕らみたいに60歳で死なない。20年に1度年を取り1000年生きながられるらしいから。
だから、神官達と同じくらいの年頃にしてるみたいだよ。」青の髪に青の瞳の青年はかなり詳しい。
「君は銀色なんだね。すごく珍しいよ。中身は透けてないけど銀色の髪は珍しいよ。」とクリスタをしげしげと見る。
いつの間にか戦いは終わり、赤髪の青年が勝利していた。目には見えない魔力を手を差し伸ばしてスッと自分の中に取り込んだ。相手はクリスタルの彫刻となって動かなくなった。
「アイツはすごいなあ〜一体いくつ吸収できるんだろ?俺は5個が限界だ。特に寿命が延びる訳じゃないから余計なんだよね。ただ60年は死なないだけで。
それに結婚して子供が生まれたら、どんどん老けるしね〜」青髪の青年は良くしゃべる。
「次、お前だろ?準備しろよ!」クリスタはまだまだ話し足りなそうな青髪を送り出す。
赤髪の青年がコロシアムから去ると女神がスクッと立ち上がりクリスタルのなった青年の方へ手をかざす。
一瞬で彼は蘇った。
「あっ、やっぱり!女神は蘇生できるんだ!」クリスタは顔をほころばす。
家は焼いてきたが、クリスタルとなった養父は砂の中に埋めてきたのだ。自分にだけ分かる目印を付けて。
いつか、女神の力で蘇生してもらおうと。
赤髪の相手は悔しがったが、トボトボとコロシアムを去った。
「この試合で死んだ者は全て蘇生して帰しました。安心して下さい。大事な国民です。無駄な死に方はさせません。」女神の声に見物客は湧く。




