これがゾンビ?それと人。
私は齋藤成人のGPSを頼りに、周辺100mまで迫っていた。
「はぁ……はぁ……成人……どこにいるの……GPSは動いてないけど……」
私は成人を探して、迷っていた。
「ゾンビなんてどこにもいないじゃない……人も居ないけど……なんだか不気味。成人のスマホのGPSはここらへんを指してるのに……」
アァー
私は震えた。
「模部……ちゃん?」
アゥ?
その腐ったような匂いのする床を這いずる物体は私の方を向き、這いずりだした。
「模部ちゃん……じゃないよね……」
私は2、3歩下がって、その物体の顔らしきものを見る。
ガゥアアア
私は周りを見渡して、すべてを察してしまった。
「ゾンビ……でも、これ……」
私が見つけたゾンビはクラスメイトの模部野子だった。そんなに仲がいいわけではなかった。でも友達の変わり果てた姿を見たら、焦りが出てくる。
「成人が……噛まれた?」
このゾンビはどう見ても自我は無い。ただ本能のまま、人を襲う。ただ……それだけ。私は、成人を探さなきゃ……
「君!!!」
「ッ!?」
「君、ここは危ないよ。避難所に行かなきゃ……」
「えっと……お兄さんは……?」
「俺も避難所に行くところなんだ。」
「私は……探さなきゃいけない人がいるので……」
「避難所に行けば会えるはずさ。僕も行くから、一緒に行かないか?」
「……すぐそこにいるんです。」
「じゃあ、その子も迎えに行こうか。」
「ありがとうございます!!」
「いや、いいよ。それよりもどこにいるんだい?」
「ここの横断歩道を渡った先……」
「……?人がいるようには見えないけど……」
私は横断歩道を渡って、あたりを見回す。
「……これ……成人のスマホ…」
「落としちゃったのかな?きっと先に避難所にいるよ。」
「…………はい……」
「ここらへん、ゾンビが全然いないね。」
「はい……」
避難所に向けて歩き出したはいいものの、会話が途切れてしまい、変な空気が流れている。
「……君、名前は?」
「……私は喪加医夢です。高校生です。」
「僕は旗幸杉太。医者だよ。なんとでも呼んでくれ笑」
「じゃあ……旗幸さんは、ゾンビを見ましたか?」
「うん。数回ね。でも動くの遅いし、慌てずに逃げれば、逃げ切れたよ。」
「どのくらい……ですか?」
「うーん…難しいけど、マラソンとか遠距離走で走るときより遅いくらいかな。」
「じゃあ……私以外の人間と会いましたか?」
「いや、今日は久々の休みでずっと寝ていたから誰とも会ってないんだ。起きてスマホ触ってたら避難指示出てて焦ったよ笑」
「なんでそんな軽そうなんですか?」
「そう見える?」
「……はい。」
「実際は実感が湧いてないんだ。ホントなら病院行って患者さんを避難させなきゃいけないんだけどね。」
「行かないんですか?」
「電車が止まってるからね。それに東京のニュース見たけど……東京はエグかったよ。阿鼻叫喚って感じ。岐阜だからここまで少ないってのもあるかもね!」
「東京でも?」
「ニャース見てる限り北海道から京都とか奈良の方面までは。中国・四国地方では確認できてないっぽい。まぁ……自宅待機にはなってたけどね。」
「……なんで……」
「あっ、市役所が見えてきたよ!」
「市役所……」
「成人を探すためにも、情報を集めなきゃ……」




