閑話 温泉スパランド大騒動
ある日の午後。
こはるの部屋。
こはるが突然言った。
「ねぇ、りり」
りり
「何?」
こはる
「一緒にお風呂行こう!」
りり
「急にどうしたの?」
こはるはドヤ顔だった。
「急でも無いよ」
「この間、一緒に入ろうって言ったら同意したし!」
りり
「まあ、そうだけど」
こはるは身を乗り出す。
「だから!」
「せっかくだし!」
「最近できた温泉スパランドスーパー銭湯に行こうよ!」
りり
「スーパー銭湯って言い方が雑」
こはる
「温泉スパランドスーパー銭湯!」
りり
「長い」
こはる
「いいじゃん!」
りりは少し考える。
「……まあ、気になってたし」
「いいけど」
こはる
「やった!」
そして――
こはるは小さく笑った。
「ぐふふ」
りり
「なにその笑い方」
こはる
「これでりりの身体をくまなく見れる!」
りり
「こはる、なんかおっさんっぽい!」
――――――――――
そして。
到着しました。
温泉スパランドスーパー銭湯。
広い。
とにかく広い。
ガラス張りの入口。
高級感のある内装。
こはるが目を輝かせる。
「すごい!」
りり
「ちょっとテンション上がってるね」
こはる
「だって初めてだもん!」
そして二人は受付を済ませ――
脱衣所へ。
そして。
数分後。
二人は温泉スペースへ入った。
こはる
「おおおおお!」
りり
「声でかい」
こはるは走り出しそうになる。
「すごく広いね!」
「露天風呂!」
「薬草湯!」
「ジャグジー!」
「なんか滝!」
「岩盤浴!」
「サウナ!」
「あとなんかいっぱいある!」
りり
「はいはい」
「走らないでね」
そのとき。
こはるがぴたっと止まった。
そして――
じー。
りりを見つめる。
りり
「……なに」
こはる
「なんかずるい」
りり
「なんで!」
こはるは真顔だった。
「ぶっちゃけ」
「りりは私の理想体型なの」
りり
「え」
こはる
「細いし」
「バランスいいし」
「胸もいい感じだし」
「おしりもいいし」
「全体的に完成されてる」
りり
「そんなこと」
少し照れる。
こはる
「だから羨ましい!」
りり
「しかたないでしょ!」
こはる
「くっ……」
悔しそうに見る。
りり
「見すぎ」
こはる
「研究です」
りり
「研究言えば許されると思ってる」
そして二人は――
露天風呂へ向かう。
外の空気。
開放感。
湯気。
こはる
「うわー……」
「気持ちよさそう……」
そのとき。
こはるが目を細める。
「あれ?」
りり
「どうしたの?」
こはる
「なんか見たことある人が……」
視線の先。
そこにいたのは――
兎月みう。
そして。
白森めい。
二人も湯に浸かっていた。
こはるの目が変わる。
「……」
りり
「え、ちょっと」
こはる
「ねぇ」
「ここに敵がいるよ!」
りり
「やめて」
みうが振り向く。
「あ?」
こはるを見て。
「……あんた」
こはるは指を突きつける。
「敵!」
みう
「ちょっと!」
「なんで私だけに敵意むき出しなのよ!」
こはる
「おっぱいの大きい人は敵!」
みう
「そっち!!?」
りり
「基準がひどい」
みうがめいを指差す。
「それならめいもいるじゃん!!!」
こはるは冷静に分析する。
「めいちゃんは推定Cカップ」
「Cは中立のC」
めい
「なんの理論ですか」
こはる
「Cカップは大きいけど」
「そこまで大きく無いから」
「(私の心が)耐えられる」
めい
「心の問題なんですね」
こはるはみうを指差す。
「でもあなたは推定Dカップ!」
「おっぱい大きい人は敵!!!」
みう
「だからなんで!!」
こはる
「私はおっぱいの大きい人には容赦しない女の子なの!!!!」
みう
「意味がわからない!!」
りりが後ろでなだめる。
「どうどう」
「落ち着いて」
こはる
「無理!」
りり
「だよね」
そのとき。
少し離れた場所。
一人の女性がこちらを見ていた。
黒髪ロング。
圧倒的なスタイル。
ヴェルヴェット将軍。
心配そうに見ている。
こはるが気づく。
「あ!」
手を振る。
「あ、ヴェルちゃんだ!」
「やっほ~!」
満面の笑顔。
ヴェルヴェット
「え、あ……」
戸惑いながら手を振り返す。
みう
「なんでよ!!!」
「私とは大違いじゃない!!」
こはる
「当たり前じゃない!」
「ヴェルちゃんと私は仲間!」
「あなたは敵!」
「おっぱい大きい人は敵!」
みう
「もういいわそれ!!」
こはるは拳を握る。
「せっかく会ったし!」
「ヴェルちゃん!」
「この2人を叩き潰しましょう!」
ヴェルヴェット
「え、え?」
完全に巻き込まれた。
りりが肩に手を置く。
「諦めなさい」
「こはるは止まらない」
ヴェルヴェット
「そんな……」
こはる
「りり!」
りり
「なに」
こはる
「審判して!」
りり
「また?」
こはる
「あっちに卓球台あった!」
「みうとめいを!」
「私とヴェルちゃんで叩き潰す!」
めい
「え?」
みう
「なんで卓球!?」
――――――――――
数分後。
卓球スペース。
こはる&ヴェルヴェット組。
みう&めい組。
りり
「……始め」
カン!
ボールが飛ぶ。
こはる
「うおおおお!」
無駄に気合い。
みう
「うるさい!」
ラリー。
めいが冷静に返す。
ヴェルヴェット
「っ……!」
意外と上手い。
こはる
「いける!」
みう
「ちっ!」
激戦。
無駄に白熱。
そして――
最後の一打。
こはる
「それぇぇぇ!!」
スマッシュ。
ドン!!
決着。
りり
「……こはる組の勝ち」
こはる
「やったああああ!!」
ガッツポーズ。
跳ねる。
無駄にテンションが高い。
みう
「なんなのこの勝負……」
めい
「疲れました……」
ヴェルヴェット
「……勝ってしまった」
こはるは振り向く。
「ヴェルちゃん!」
「ナイスコンビ!」
ヴェルヴェット
「いえ……」
少し嬉しそう。
こはる
「連絡先交換しよ!」
「今度一緒に遊び行こう!」
ヴェルヴェット
「え、あ……はい」
嬉しそうに頷く。
こはる
「めいちゃんも!」
めい
「はい?」
こはる
「しかたないからみうちゃんもね!」
みう
「なんで私だけ仕方ないのよ!」
こはる
「だって敵だし」
みう
「まだ言う!?」
りり
「あんたねぇ〜……」
呆れる。
こはる
「りり」
りり
「なに」
こはる
「むくれない!」
「りりも一緒だから!」
りり
「別にむくれてなんかないわよ!」
こはるは笑う。
「しかたないなぁ!」
「今日は一緒に寝てあげるから!」
りり
「なにその上から」
こはる
「パジャマパーティーね!」
みう
「なんでそうなるのよ!」
めい
「展開が早すぎます」
ヴェルヴェット
「……楽しそう」
全員
「……」
少し沈黙。
そして。
誰かが笑った。
こはるだった。
「まあいっか!」
りりも笑う。
みうもため息混じりに笑う。
めいも小さく笑う。
ヴェルヴェットも微笑む。
こうして。
なんだかんだで――
全員。
仲良くなるのであった。




