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45.噴水前の決戦3

噴水の前。


朝の公園。


噴水の水しぶきが朝日に照らされ、細かな光の粒となって舞っていた。


その中心で――

六人の戦いが、まだ続いていた。


魔法少女ピンクフリル。

魔法少女ホワイトフリル。

変態紳士。


メイド怪人メイディア。

バニー怪人ラビーナ。

ヴェルヴェット将軍。


そしてその周囲を取り囲む――


少し減ったとはいえ、まだ残っているヌギーの群れ。


黒い戦闘員たちが円を描くように戦場を囲んでいる。


だが、変態紳士が参戦した瞬間。


戦いの形は変わった。


まるで自然に決まったかのように、三つの対決に分かれていた。


メイディア vs ホワイトフリル。

ラビーナ vs 変態紳士。

そして――

ヴェルヴェット将軍 vs ピンクフリル。


噴水の水音が響く。


戦いは三箇所で同時に続いていた。



――メイディア vs ホワイトフリル。


白と赤の衣装が高速で交錯する。


めいのキック。

りりが回避。

すぐに反撃。


白い翼が大きく広がる。


「やりますね」


めいが静かに言う。


りりが笑う。


「そっちもね」


蹴り。

拳。

ステップ。


二人はほぼ互角だった。


一進一退。


完全に拮抗している。



――ラビーナ vs 変態紳士。


一方。


こちらは様子が違った。


みうのキックが飛ぶ。


変態紳士がひらりと回避。


「おやおや」


「危ないですね」


余裕の声。


みうが眉をひそめる。


「ちょっと!」


「全然当たらないんだけど!」


回し蹴り。

パンチ。

連続攻撃。


だが――


全部かわされる。


紳士はステップ一つで避けている。


まるでダンス。


余裕がありすぎる。


こはるは横目でそれを見て思った。


(あれ……)


(絶対本気出してない)


(この人)


(私の時も遊ばれてたんだ……)


ちょっと悔しい。


でも今は味方だ。


頼もしい。



――ヴェルヴェット将軍 vs ピンクフリル。


そして。


問題はここだった。


ヴェルヴェット将軍。


強い。


とにかく強い。


拳が来る。

避ける。

蹴り。

受ける。


衝撃。


地面を滑る。


「くっ……!」


何が強いのか分からない。


でも――


とにかく強い。


そんな強さだった。


それでも。


パワーだけならなんとか耐えられる。


さすが――


5.4倍強化。


(強化しててよかった……!)


そう思った瞬間。


ヴェルヴェットの拳が来た。


ドン!


吹き飛ばされた。


芝生を転がる。


「こはる!」


りりが叫ぶ。


こはるは歯を食いしばって立ち上がる。


(集中……)


(集中……)


でも。


正直。


勝てる気がしない。


その時だった。


着地した瞬間。


胸が揺れた。


「プルンっ」


小さく。


揺れた。


その瞬間。


ヴェルヴェットの動きが――


止まった。


完全に。


(……あれ?)


また戦う。


避ける。


着地。


胸が揺れる。


「プルン」


ヴェルヴェットの視線。


完全に胸。


動きがおかしい。


明らかに集中が乱れている。


(……もしかして)


(これ)


(いける?)


こはるは賭けに出た。


「ねぇ」


「ヴェルヴェット将軍」


ヴェルヴェット

「何かしら、ピンクフリル」


こはる

「あなた」


「私のお胸に興味あるの?」


ヴェルヴェットが一瞬言葉を詰まらせる。


「そ、そんなわけ……」


こはる

「そんな立派すぎるお胸があるのに?」


ヴェルヴェット

「な、何を言っているの」


こはるは胸に手を当てた。


「私のお胸」


「実はパッド入りなの」


そして――


ぐいっ。


胸を押す。


「ほらっ!!」


「プルンっ」


ヴェルヴェット

「そんなわけあるかーーーー!!!」


「パッド入りはそんな揺れない!!!」


完全にツッコミ。


その瞬間。


こはるが踏み込んだ。


「隙あり!!」


ステッキを振りかぶる。


「私の全力受けてみろ!!」


光が集まる。


魔力が膨れ上がる。


そして――


「ドカーーーーーーン!!!!」


直撃。


ヴェルヴェット将軍が吹き飛ぶ。


噴水の縁を越え。


芝生へ。


ドサッ。


その時。


空から何かが落ちてきた。


半月型。


ふわり。


地面に落ちる。


よく見ると――


パッド。


こはる

「…………」


視線を戻す。


ヴェルヴェット将軍。


倒れている。


胸元。


スカスカ。


自主規制マーク。


こはる

「……とりあえず」


「回収っと」


衣装を剥ぎ取る。


ぺりぺり。


その様子を見ていためいとみう。


沈黙。


こはるが振り向く。


「ねぇ」


「ヴェルヴェット将軍倒したけど」


「まだやる?」


二人。


沈黙。


そして――


両手を上げる。


降参。


変態紳士が言った。


「決着が付きましたな」


りり

「はぁ〜」


「終わった〜」


だが。


こはるはまだ動いている。


「剥ぎ取りしないと」


「倒したことにならないし」


嬉々として衣装回収。


そしてしばらく後。


噴水前。


三人の怪人。


正座。


ヴェルヴェット将軍。

メイディア。

ラビーナ。


もちろん。


自主規制マークと謎の光で完全ガード。


こはるが聞く。


「で」


「ドレスティアって何?」


ヴェルヴェットが答える。


「ドレスティアは」


「別の次元にある妖精界の名前です」


「こちらの世界には龍穴からエネルギーを分けてもらうために来ました」


こはる

「服を奪うのは?」


ヴェルヴェット

「私の趣味です」


「可愛い女の子の服を集めて展示しようかなと」


こはる

「……」


「無害では?」


そして聞く。


「ところで」


「ヴェルヴェット将軍って何歳?」


ヴェルヴェット

「えっと……」


「18歳です……」


こはる

「同じ年かよっ」


沈黙。


こはるは肩をすくめた。


「まあ」


「無害そうだし」


「帰っていいよ」


三人

「え?」


こはる

「襲ってきたから対応しただけだし」


「今後仲良くしてくれると嬉しいかな」


そして振り返る。


変態紳士。


こはるが笑う。


「変態紳士さん!」


「今日はありがとうございました!」


「すごく助かりました!」


少し考える。


「お礼なんですが」


「この間みたいな水着撮影」


「一回でいいですか?」


変態紳士

「それは僥倖!」


「楽しみにしております!」


紳士は一礼した。


本当に――


紳士だった。


変態だけど。

 

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