41.戦利品分配
戦いのあと。
朝の騒ぎが嘘のように静かな午後。
桃瀬こはるの部屋には、柔らかな日差しが差し込んでいた。
テーブルの上には――
赤いメイド服。
そして赤いバニーガール衣装。
先ほどの戦いで手に入れた戦利品である。
こはるは椅子の上で正座しながら言った。
「さてと」
手をぱん、と叩く。
「では、戦利品の分配に移りたいと思います!」
りりが首をコテンと横に傾けた。
「戦利品?」
不思議そうな顔。
こはるは当然のように頷く。
「うん」
「でもなんだかんだと装備がボロボロになったから」
黒いボディスーツをつまむ。
「ほら」
「結構やられてる」
布はところどころ焦げている。
戦闘の激しさを物語っていた。
「だから装備は欲しいかな」
りりは少し考えたあと、肩をすくめた。
「別にいいよ」
「私は」
こはるの目がキラッと輝いた。
「では遠慮なくいただきます!」
りりは苦笑する。
「早い」
こはるはテーブルを見る。
メイド服。
バニー衣装。
どちらも赤。
なかなか派手だ。
「あと」
こはるはプルンを見る。
「ポイントは?」
プルンは空中でくるっと回った。
「えっとプルン」
指を折って数える。
「ヌギーが50匹」
「幹部2人」
「だからそれぞれ」
「500と400」
「合計900ポイントプルン!」
こはるの目が輝く。
「900!」
そしてすぐりりを見る。
「じゃあ半分こでいい?」
りりはあっさり言った。
「私はなんでもいいよ」
「じゃあ」
こはるは指を立てる。
「450ポイントずつ!」
そして説明を始める。
「ちなみに」
「10ポイントが一万円」
りり
「え」
こはる
「100ポイントでステッキの強化」
りり
「へぇ」
こはる
「300ポイントでお胸の強化」
りりが少し考える。
「だったら」
「とりあえずお金かな」
「さすがにドレスティアに戻れないだろうし」
こはるが一瞬黙る。
「あー……」
少し申し訳なさそうに言う。
「なんかごめん」
りりは首を振った。
「いいよ」
「私が決めたことだし」
少しだけ笑う。
「こはるの方が大事」
こはるが勢いよく立ち上がる。
「ありがとう!」
そして抱きつこうとする。
「りり!大好き!!」
りりが慌てて押し返す。
「もう!」
「そういうのいいから!!」
顔が少し赤い。
照れている。
こはるは笑う。
そして計算を始めた。
「じゃあ私は」
「前の残りと合わせて」
「550ポイント」
指を折る。
「ステッキ強化2回」
「5.4倍」
「お胸1回」
「残り50ポイントは保管!」
こはるはステッキをプルンに渡す。
「お願い!」
プルンは受け取る。
「わかったプルン!」
ステッキが光る。
魔力が流れ込む。
ぴかっ。
数秒後。
「これで5.4倍プルン!」
こはるが受け取る。
軽く振る。
空気が少し震える。
「おお」
「前より軽い!」
プルン
「次はお胸プルン!」
こはるは胸を見る。
「お願いします」
プルンが魔力を流す。
ふわり。
柔らかな光。
胸元へ魔力が集まる。
小さく整った丸み。
そこに――
ほんの少しだけ膨らみが加わる。
布がふわりと持ち上がる。
こはるが瞬きをする。
「……」
手で触る。
やわらかい。
少しだけ。
ほんの少しだけ。
膨らんでいる。
「おお~!」
跳ねるこはる。
「たしかに増えた!」
プルン
「微増プルン!」
こはる
「ほんとだ!」
「ちょこっとだけプルンってなる!」
楽しそうに胸を確認する。
りりは呆れ顔。
「そんなに嬉しい?」
こはるは真顔。
「めちゃくちゃ嬉しい」
そして急に真剣になる。
「これは」
「成長だ」
りり
「そう」
こはるは満足そうに頷く。
「よし」
そしてテーブルを見る。
メイド服。
バニー衣装。
「じゃあ」
「せっかくだから」
「改造しよっか」
りり
「改造?」
こはるは立ち上がる。
服を広げる。
メイド服のフリル。
バニー衣装のライン。
「うん」
「前の衣装ボロボロだし」
「これ使って」
「新しいの作る」
こはるは裁縫箱を持ってきた。
チョキ。
布を切る。
フリルを取る。
リボンを外す。
バニー衣装の光沢生地。
メイド服のレース。
組み合わせる。
数十分後。
こはるは完成した衣装を体に当ててみる。
鏡の前。
赤いボディスーツ。
腰のフリル。
太もものガーター。
体のラインにぴったり沿っている。
くるりと回る。
フリルがふわりと揺れた。
後ろから見ると――
ヒップの丸いラインがきれいに出ている。
「うん」
こはるが小さく頷いた。
「いい感じ」
りりが後ろから見ている。
「前より似合ってる」
こはる
「ほんと?」
りり
「うん」
「ちょっとエロいけど」
こはるは少し笑う。
「魔法少女だからね」
プルンが空中で回る。
「新装備プルン!」
こはるは鏡をもう一度見る。
胸元。
ほんの少しだけ増えた膨らみ。
「……」
指で軽く触れる。
少しだけ嬉しそうな顔。
「ちゃんと成長してる」
小さく呟く。
りりが隣に立つ。
「よかったね」
こはるは照れたように笑った。
「うん」
窓の外では夕方の光が静かに差し込んでいた。




