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34.屋内プールと変態紳士

平日の朝。


まだ少し冷たい空気の中、桃瀬こはるはジョギングから帰ってきた。


マンションの前で軽くストレッチをして、部屋に戻る。


シャワーを浴びると、体の疲れがふっと抜けていく。


「はぁ〜……」


髪をタオルで拭きながらリビングに出ると――


ピンポーン。


呼び鈴。


「はーい」


ドアを開けると、そこにいたのは。


小鳥遊りりだった。


「おはよー!」


朝から元気いっぱいだ。


「おはよ」


「ねぇこはる」


りりが突然言った。


「プール行こう!」


「……プール?」


「うん!」


りりはスマホを見せる。


近所の大型レジャー施設。

巨大な屋内プール。


ウォータースライダー、流水プール、ジャグジーなど色々あるらしい。


「今日は平日で空いてるし!」


「行こうよ!」


こはるは少し考えた。


プールなんて、最近行っていない。


それに――


「……まあ」


「プールって一人で行くものじゃないしね」


「でしょ!」


りりがにやっと笑う。


「行こ!」


こうして二人は――

屋内レジャープールへ向かった。


巨大なドーム型の屋内施設。


天井はガラス張りで、柔らかい光が差し込んでいる。


温水プールなので、館内は暖かい。


「おおー!」


りりがテンション上がる。


「広い!」


ウォータースライダー。

流水プール。

波のプール。

ジャグジー。


色々ある。


更衣室で着替え、プールサイドへ出る。


りりの水着は――


黄色のビキニ。

セパレートタイプ。

腰には短めの布を巻いている。


細い腰。

引き締まったお腹。

長い脚。


「どう?」


りりがくるっと回る。


腰布がふわっと揺れた。


「可愛いじゃん」


こはるは素直に言う。


「スタイルいいね」


「でしょ」


りりは得意げだ。


そして。


こはるの水着。


白いワンピースタイプ。


シンプルなデザイン。


しかし。


身体のラインが綺麗に出る。


背中は大きく開いていて、腰の曲線が自然に強調される形だ。


りりがまじまじと見る。


「……あんた」


「本当スタイルいいよね」


「そう?」


こはるは肩をすくめる。


「まあ、運動してるし」


白い水着のラインは体に自然に沿い、余計な装飾がない分、脚の長さや腰の曲線がよく分かる。


健康的で、すっきりした体型。


「いい身体してるわ」


りりが笑う。


「ありがとう」


こはるも笑った。


まずはウォータースライダー。


「いくよ!」


「うわっ速!」


水しぶきを上げながら滑り降りる。


次は流水プール。


ゆったり流れる水に乗りながらのんびり進む。


その後はジャグジー。


「あ〜」


「疲れた〜」


二人で笑う。


プールサイドのパラソルの下。


椅子に座る。


「喉乾いたね」


こはるが立ち上がる。


「飲み物買ってくるよ」


「お願いー」


売店へ向かう。


その途中。


こはるはふと足を止めた。


プールを眺めている人がいる。


黒いパンツタイプの水着。


鍛えられた体。


そして。


あの髪型。

あのマスク。


(……あれ)


(知ってる人?)


近づく。


「こんにちはー」


こはるが声をかける。


「変態紳士さん?」


男がゆっくり振り向く。


「おや」


「そのお尻は」


「ピンクフリル!」


「まあ、そうなんですけど」


こはるは苦笑する。


「変身してない時はこはるでお願いします」


男は深くうなずいた。


「なるほど」


「こはる君か」


「どうしたんですか?」


こはるが聞く。


「怪人活動じゃないんですか?」


変態紳士は少し考えた。


「思うところがあってね」


「現在は活動休止中だ」


そして真面目な顔で言う。


「ただ」


「女の子の水着姿は見たいので」


「ここでこうしている」


「……」


こはるは少し呆れる。


だが。


次の言葉で吹き出しそうになった。


「しかし」


変態紳士が真剣な目で言う。


「君のお尻は素晴らしい」


「是非」


「私のおすすめの水着を着てほしい」


「……」


こはるは少し考える。


そして言った。


「まあ」


「私を襲わないなら」


「水着くらい着て見せてもいいですよ?」


変態紳士の目が輝いた。


「なんと!」


「それは僥倖!」


こはるは笑う。


「今、友達と来てて」


「飲み物買いに行くところなんですよ」


「休憩終わったらなら大丈夫」


変態紳士はすっと姿勢を正した。


「では」


「飲み物は我が買ってこよう」


「何人で来ている?」


「二人です」


「了解した」


「待っていてくれたまえ」


こはるは戻る。


「ただいまー」


りりが聞く。


「おかえり」


「あれ?」


「飲み物は?」


こはるは笑う。


「そこで変態紳士さんに会って」


「ご馳走してくれるって」


りり

「何やってんのあんた」


こはる

「あと」


「着てほしい水着あるらしい」


りり

「は?」


こはる

「付き合ってあげようかなって」


りり

「……」


少し沈黙。


そして。


りりは笑った。


「本当」


「優しいわねあんた」


そのとき。


変態紳士が戻ってきた。


しかし。


格好が違う。


黒い燕尾服。


完璧な執事スタイル。


トレーに飲み物。


「お待たせしました」


「こはるお嬢様」


「そのご友人様」


「ちょっと!」


こはるがツッコむ。


「なんで燕尾服!?」


変態紳士は真面目に言った。


「こちらの方が」


「気分が乗る」


りりが吹き出す。


「面白いじゃん」


飲み物を受け取り、二人は少し休憩する。


そして。


しばらくして。


変態紳士が再び現れた。


「水着はこちらになります」


白と黒。


布面積の少ないビキニ。


りりが笑う。


「攻めてるわね」


こはるも笑う。


「まあ」


「今しか着れないし」


「いいですよ」


二人は更衣室へ向かった。


着替え。


こはるは黒いビキニ。


りりは白いビキニ。


布面積は少ないが、シンプルで綺麗なデザイン。


鏡を見る。


こはるは少し照れる。


りりが笑う。


「似合うじゃん」


二人はプールサイドへ戻った。


変態紳士。


完全に固まる。


「……」


「素晴らしい」


「芸術だ」


二人は笑う。


「じゃあ」


「写真お願いします」


「かしこまりました」


執事モード。


二人は色々なポーズで写真を撮る。


肩を寄せる。

笑う。

振り向く。

腰をひねる。


プールの光が水面で揺れる。


白と黒の水着。


健康的で、明るい雰囲気。


変態紳士は満足そうだった。


撮影終了。


こはるが言う。


「今日は楽しかったです」


変態紳士は深く一礼した。


「我も満足した」


「ありがとう」


そして。


静かに去っていった。


りりが言う。


「……」


「いい変態だったね」


こはるは笑った。


「紳士だったね」


屋内プール。


楽しい一日だった。

 

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