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33.ドレスティア作戦会議3

地下。


秘密結社ドレスティア拠点。


重い扉が静かに閉まる。


地下作戦室は相変わらず薄暗く、紫色の間接照明が壁を照らしていた。


照明は天井近くに仕込まれており、直接光ることはない。

淡く広がる光だけが、空間をぼんやりと照らしている。


空気はひんやりとしている。

しかし同時に、どこか甘い香水の香りが漂っていた。


壁一面にはガラスケース。


その中には――


衣装。

ドレス。

舞台衣装。

コスチューム。

制服。

戦闘服。


すべて丁寧に整えられ、まるで美術館の展示のように並んでいる。


その奥。


一段高い場所。


豪奢な椅子。


まるで王座のようなその椅子に、ヴェルヴェット将軍が腰掛けていた。


長い黒髪。

艶のある髪が背中へ流れている。


ゆっくり脚を組み替える。


ドレスの布がさらりと揺れる。


手にはワイングラス。


赤い液体がゆっくり回っていた。


「……さて」


静かな声。


円卓の前には二人の少女が立っている。


白森めい。

兎月みう。


ドレスティア幹部。


メイディア。

ラビーナ。


沈黙。


地下室にはしばらく何の音もなかった。


先に口を開いたのはみうだった。


「……怒らないの?」


少し挑発するような声。


ヴェルヴェット将軍はグラスを傾けながら答える。


「何を?」


みうは肩をすくめた。


「襲撃失敗」


「幹部二人とも負け」


めいは視線を下げる。


「申し訳ありません」


しかし。


ヴェルヴェット将軍は怒らなかった。


むしろ。


微笑んだ。


「別に」


「気にしていないわ」


グラスをテーブルへ置く。


小さな音。


「むしろ」


「面白い」


みうが眉を上げる。


「面白い?」


将軍は円卓に映る映像を見る。


そこに映っているのは――


魔法少女ピンクフリル。


そして。


怪獣との戦闘映像。


巨大な怪獣。

建物よりも大きい体。

火炎弾。

爆発。


その怪獣を相手に。


ピンクフリルが戦っている。


跳ぶ。

走る。

魔法弾。

爆発。


怪獣が倒れる。


映像が止まる。


みうが吹き出した。


「え」


「これ本物?」


めいが答える。


「確認済みです」


「魔法少女ピンクフリルが単独撃破」


みうが笑う。


「やば」


「想像より強いじゃん」


ヴェルヴェット将軍は画面をじっと見ていた。


目が細くなる。


まるで美術品を鑑賞するような視線。


「……いいわね」


その声は楽しそうだった。


「脚の使い方」


「身体の軸」


「重心移動」


「無駄がない」


映像の中でピンクフリルがジャンプする。


スカートがふわりと広がる。


将軍はゆっくり言う。


「本当に」


「いい身体をしている」


みうが苦笑する。


「そこ?」


将軍は気にしない。


「怪獣相手でも」


「逃げない」


「状況判断も早い」


指先でグラスの縁をなぞる。


「素晴らしいわ」


めいが言う。


「速度戦でも通用しました」


「私の高速移動にも反応」


「近距離戦闘も強い」


みうが腕を組む。


「なるほどね」


「だから」


「私も一発で吹き飛ばされたわけだ」


めいが横を見る。


「あなたは変身中に攻撃されたと聞いています」


みう

「うるさい」


将軍は小さく笑う。


「言い訳?」


みうは舌を出した。


「次は勝つ」


ヴェルヴェット将軍は椅子に深く座り直す。


背もたれに体を預ける。


そして静かに言った。


「その通り」


「次よ」


空気が少し変わる。


将軍の視線が二人へ向く。


「ラビーナ」


みう

「はいはい」


「今度は真面目にやる」


将軍

「一人ではないわ」


みう

「え?」


将軍はめいを見る。


「メイディア」


めい

「はい」


将軍

「あなたも行きなさい」


円卓の空気が少し張りつめる。


みうが笑う。


「二人?」


将軍はうなずく。


「ええ」


「怪獣を倒す魔法少女」


「一人で遊ぶには」


「少し強すぎる」


みうがニヤリと笑う。


「面白くなってきた」


めいは冷静だった。


「連携戦闘ですね」


将軍は言う。


「そう」


「あなたの速度」


「ラビーナの火力」


「二人なら」


「捕まえられるでしょう」


モニター。


ピンクフリルの戦闘映像。


ジャンプ。

回転。

魔法弾。


怪獣が爆発する。


将軍は小さく呟く。


「その衣装」


「ぜひ欲しい」


そして。


ゆっくり笑う。


「綺麗に展示してあげる」


ガラスケースを見る。


そこには様々な衣装。


ドレス。

制服。

コスチューム。


どれも丁寧に飾られている。


その中央に――


空いているスペース。


まるで新しい展示を待っている場所だった。


将軍はグラスを持ち上げる。


「次の作戦」


赤い液体がゆっくり揺れる。


「楽しみにしているわ」


みうは肩を回す。


「任せて」


めいは静かに言う。


「次は逃しません」


地下作戦室。


紫の照明。


静かな空気。


モニターの中央に映るのは――


魔法少女ピンクフリル。


その映像を見ながら。


ドレスティア幹部二人は


静かに次の戦いの準備を始めていた。

 

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