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冒険者ギルドで依頼

冒険者ギルドの歴史は古い。

都市国家が誕生する頃には冒険者は一般的なものとして存在していた。率先して未開の土地を進み、時には魔獣と戦い、魔獣の素材や薬草類、そしてその土地の情報を持ち帰った。

都市国家はその情報を基に開拓を進め、人類は支配領域を広げていった。古代において冒険者とは未開の地を開拓する最前線で貴重な情報を持ち帰る存在として国家から重宝されていた。


時代が進み、人類の支配領域が広がると冒険者はその経験を買われて依頼を受けて探索や商人の都市間の移動の護衛をするようになると、必然的に依頼者と冒険者の間でトラブルが発生するようにもなる。

そんな中、トラブルの解決や交渉の仲介、冒険者と依頼者の間に入ることを仕事にする者が出てきたのが冒険者ギルドの原型だとされている。


現在では都市や町などに必ずと言っていいほど冒険者ギルドは存在し、国家の枠組みを超えた独立組織となっている。明確なトップがいるわけではないが横の繋がりはあり、その影響力は大きい。

各都市や町に存在するギルドのギルド長はその都市または町では有力者と言っていいだろう。


「……アレン様どの様なご用件で?」


そして、俺の目の前に座る強面の男がアルスのギルドのギルド長、バルバロイだ。巨躯のバルバロイが座るとギルド長の執務室のソファーが小さく見えるのが少し面白い。


「そんなに堅苦しくしなくていいぞ。お前と俺の仲だろ?」

「あー、そう言ってくれると有難い。先触れに来たメイドさんがおっかなくてな」

「ん?リリスがか?」


後ろを振り向いてみるが、リリスは無表情で俺の座っているソファーの後ろで静かに立っている。やはり黙っていれば芸術品のように綺麗だが、無表情なのが駄目なのだろうか?

バルバロイにはリリスがおっかなく見えるらしい。


「リリスの無表情はいつものことだから気にしない方がいいぞ」

「いや、そういうことを言っているんじゃなくてな……さっきからガンを………なんでもねぇ」


バルバロイが歯切れ悪く何かを言いかけたが、目を逸らして言うのをやめてしまった。明らかにリリスから目を逸らしているが、やはり怖いらしい。俺は慣れているから分からないのかもしれない。

まあ、そんなことより用件を済ましてしまおう。


「それで用件だが、マクベス子爵領と接している森と村、それに街道に警備依頼を出したい。報酬は後で人をやるからそいつと話してくれ」

「ははぁん、何か面倒なことになってやがるな?」


こいつ、口では面倒だと言っておきながら、ニヤニヤと面白そうな顔しやがて……お前もアルトロス男爵領に住んでるんだから他人事じゃないんだぞ。


「実はマクベス子爵家との婚約がついさっき破棄されてな。しかも、その背後に塩の利権を狙う大物貴族がいるみたいなんだよ」

「……おいおい、何でそんなこと教えやがった。依頼の内容だけで良かっただろ」

「お前の顔がうざかったから」

「テメ……アレン様よぉ、そういうのはやめてくれや」


好奇心は猫をも殺すと言うし、このくらいは許容しろ。面倒臭そうな顔をしたバルバロイが溜息をつく、いつもならここから軽口の叩き合いが始まるんだが、リリスがいるから辞めたらしい。


一対一ならまだしも、いくら俺が許していても使用人がいる状態で俺に怒鳴ったりとかは出来ないよな。


「で、名目はどうする?お前が警戒したいのは子爵家の私兵(盗賊)なんだろうけどよ、流石に目撃証言もなく依頼出したら怪しまれるぞ」

「そうだな。子爵は気付かなくても黒幕は気付くかもな」

「アレン様の子爵様への評価は低いな」


バルバロイが苦笑してるが、事実なんだからしょうがないだろ。今回気を付けなければいけないのはマクベス子爵家の動向もそうだが、それを操っている黒幕だ。

どこの誰かも分からない上に、相手は中央で力を持っていて権謀術数が得意だろう。この手の奴で姿の見えない相手程、厄介なものはない。


「お前だって子爵の評価は俺と同じ様なもんだろ」

「まあな、先代が傑物だったから尚更無能さが目立ってる。それに最近では先代の頃からの忠臣や諫言をする譜代の家臣を遠ざけて、子爵様の言葉に肯定しかしない佞臣を重宝しているって話だ。さらには重税をかけて得た金で豪遊三昧って話もある。とても有能な人間がすることとは思えんな」

「流石、いろいろと知ってるな」

「子爵領から冒険者が結構流れてきてるからな。よく耳に入るんだよ」


重税をかけていることも風の噂で聞いてはいたが、冒険者が逃げ出してるとなると相当だな。子爵領からの人口の流入はあまりないと報告されてた。もしかしたら、子爵が力で抑え込んでるのかもな。


「話が逸れたな、名目は春に近づいて増えた魔物を警戒してってことでいいだろ」

「それなら問題ねぇな。いつもより少しばかり魔物の数が多いしな」

「そうなのか?」

「ああ、まあ、誤差の範囲内ではあるけどよ」


露店の親父から聞いた時はこの時期だと当たり前だから気にしなかったが、例年より少し多いのか。一応、会議で父上や皆に伝えておくか。


「分かった。父上に伝えておく」

「おう、そうしてくれや」


話は終わったし帰るか、俺がソファーか立ち上がってドアの方に歩くと後ろから静かにリリスがついてくる。


「あっ、待て、伝え忘れてた」

「まだ何か情報があったのか?」


俺がドアを開けようとしたところでバルバロイから制止がかかる。振り返るとバルバロイが真剣な表情をして手招きするので取り敢えず近づくと、声を小さくして情報を伝えてきた。


「最近、子爵領でガラの悪い余所者が増えてるらしい。十中八九傭兵だろうから、あっちはもうやる気満々ってところだろう。気を付けろよ」

「ああ、ありがとう。何、戦争を仕掛けてくるのは想定内だ問題ない」

「……いらんお世話だったか?」

「いや、助かった。これから会議だったから良いタイミングだ。じゃあな」


本当にいいタイミングで情報が手に入った。

……それにしても、もう傭兵を集めてるのか。ガラの悪い奴らがどれくらいいるかでザックリと相手の兵力を予想出来るな。

集まっているだろう傭兵と傭兵団の情報も少しでも集めないとな、有名どころがいたら警戒する必要がある。


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次話は6/4十二時に投稿します

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