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1112:明答

新秩序体制に欠かせないもう一つの事……。

それは穏健的権威主義体制下における民主主義の確保である。

先ほどは民主主義に対して個人の権利と自由に関する事について述べたが、何から何まで規制しようとしているわけではない。


少なくとも、個人の自由については保証を行い、公正公平かつ中立的な報道を行うように報道機関には求めているという事だ。

人間というのはいつの時代においても色んな意見が出てくることがある。

その意見について議論を行ってより良い方向に進捗していく事が理想的な民主主義の発展でもある。


だが、右派、左派の思想はあってもいいが、これが両極端になってしまえばバランスは崩れてしまう。

極端な思想に傾倒してしまえば排斥主義であったり、自国民に敵を作り迫害して団結し、自国主義を貫いてファシズム的な思想に傾倒してしまうようになってしまう。

それを歴史は証明している。


かつてドイツの共和国時代において民主主義体制を保っていたものの、世界恐慌や戦後の賠償命令等によって自国の経済や誇りを傷つけられたと感じていた人々がナチスドイツの主義主張に共鳴し、最終的にはナチスドイツは政治的な工作や敵対的な左派政党への攻撃などもあったが『名目上では民主的に独裁政権の樹立』が出来てしまった一例でもあるのだ。


現代でも一部のメディアや評論家の人達が、日本の保守政治家に対してナチスを例に挙げて独裁政治であると語るが、真に独裁政党であるならばそのような言動を述べた瞬間に、次の日から彼らは刑務所にいるか警察の尋問を受けて歯が無くなってしまうかのどちらかだろう。


日本は第二次世界大戦時には各政党を解散して大政翼賛会という体制に移った。

一時的な一党独裁制に近い制度であったわけだが、これは当時の近衛首相が主導した官製機関でもある。

当時の日本には複数の政党があったが、各政党もこの大政翼賛会の間は実質的に解散となり、戦後になって保守政党や革新政党の誕生する基盤となったため、一から無かったというわけではないのだ。


それにナチスが最初から独断で権力の座にいたわけではない。

民衆がナチス党であれば今の窒息しそうなドイツ経済を立て直せると期待した結果、国民の大多数からの支持を受けて選ばれたのである。

世界恐慌によって失業者にあふれていたドイツにおいて、ナチス政権は大々的な計画経済政策の導入や、アウトバーンなどの高速道路建造事業によって大幅に失業率とハイパーインフレーションを改善し、一定の成果を出していたからだ。


この成果によってドイツ国民は「ナチスは信用できる」という信頼を勝ち取ったのである。

でなければ、敗戦に至るその時までナチス政権が支持されるわけないのだ。

国民からの強い支持を受けていたからこそ、ナチスはベルリンの戦いで負けるまで、徹底抗戦を貫いたのである。


(そう考えれば、民主主義体制から独裁政治を誕生してしまう可能性も高いからなぁ……国民の不平不満が拡散し、それを利用して極端な政治体制を掲げる政党が躍進して政治権力を掌握した時が民主主義が終わってしまうリスクがデカい……であれば、民主主義を掲げるにしても議会制民主主義においては極端な政治体制にいかないように国家元首から認可を必要にするとか制限をつけないとな……)


国家元首や諮問機関からの認可を受けた政治政党が国政に参加する……。

今の王権政治が手腕を振るうことが許される時代において、これを制度化して各国がそれに追従する形で導入するべき形なのだろう。

国政政治においては停滞をして国民に負担を掛けることは許されない。

ましてや民主主義国家においては政府への悪評や不平不満を言う権利が生じるわけであり、その不平不満の声が大きくなって極端な政治政党が権力の座に就くことが一番恐ろしい事例でもあるのだ。


ナチス党を例に挙げたが、現にあの政党が20世紀に政権を掌握できたのも形は【合法的】な手段を通じて実施できたし、21世紀においても排斥主義を堂々と掲げる極右勢力が大躍進を遂げているのを見るに、民主主義体制だからこそ極端な主張を行っても、それを受け入れる土壌が出来てしまっているのである。

その土壌となる基礎を既に18世紀から芽を摘む必要がある。


(政治体制に関する法案……それから国王の権限に関しても議長の選出や内閣府の長の決定権に関するもの……それから将来ヨーロッパで連合王国としてフランスが主導的な王君連合を樹立した暁には、フランスの王家がこれらのヨーロッパ地域での発言権や影響力を行使することになる……王族や皇族に関する権威を保ったうえで、これらの王族や皇族が廃絶や廃嫡されないようにしないとな……)


革命の嵐が吹き荒れた18世紀から19世紀……そして第二次世界大戦後の20世紀中期以降、ヨーロッパでは王族や皇族の追放や廃嫡が相次いで行われた。

特に、東欧地域においては皇帝や王族の多くが社会主義政権下となった地域において退位させられることになり、現代までにあくまでも首相や大統領として復権した例もあるが、その多くは退位させられてそのまま共和制政治になる事が多い。


共和制政治の全てが悪いというわけではないが、一度でも過激な主張をする人物が政府の中枢に立ってしまった際に、これを阻止する手段がないのだ。

共和制政治における最大の弱点とは、民衆が極右・極左的な過激な政治信条を持っている政治家の台頭を後押ししてしまった場合、その熱意によって政治家を政府首班に任命することになんの躊躇いもなく実行に移してしまうことが出来るという点だ。


つまり、一党独裁を掲げるような政治体制への転換が行われた際に、共和制から独裁制への移行が議会の承認を経てスムーズに行われてしまうのだ。

社会主義共和制というものに関しては一党独裁の中からリーダーを選出するという方式であるため、ソビエト連邦やベトナムなどはこれによって指導者が定期的に入れ替わりができている。

一党独裁という事を除けば、指導部が緩和的な政治手腕を振るえば、その分恩恵を受けることもあった。


中国も毛沢東以降の政治体制は主席は最大でも2期10年までとされていたが、それが撤廃されて実質的な個人独裁国家になったこともあり、色々と問題も騒がれていた。


……とまぁ、長々と話をしてしまったが、あくまでも民衆には一定の自由と責任を持たせることで「民主主義」を護り、政治体制においては国王や皇帝が政治の決定権を持つ反面、21世紀でも存続できるように王族や皇族の関係について憲法で明記し、これに違反して独裁などをするようなことがあれば王位継承の資格を取り上げることができるようにする。


好き勝手に民衆の事をほったらかして贅沢三昧した結果、革命起きて一族郎党処刑されたニコライ2世のような末路にだけはなりたくない。

故に、国王や皇帝の責任や役割を明文化することで大衆の不平不満を和らげる。

こうすることで21世紀においても通用するであろう政治体制になっていくのではないだろうか……。



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